![特別展示「月映」会場](https://images.keizai.biz/wakayama_keizai/headline/1421933526_photo.jpg)
和歌山城近くの和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8690)で1月18日、和歌山市出身の田中恭吉とその盟友・恩地孝四郎、藤森静雄の作品集「月映(つくはえ)」刊行100年を記念した展示会が始まった。
田中恭吉は1982(明治25)年、和歌山市生まれの文人・芸術家。1910年、東京美術学校入学を目指して通い始めた「白馬会原町洋画研究所」で藤森静雄と出会い親交を深めた。東京美術学校の彫刻科入学後は大槻憲二や土岡泉、竹久夢二、香山小鳥、恩地孝四郎などと交流し、同人雑誌「ホクト」を出版。また、回覧雑誌「密室」にペン画や木版画を発表している。
同展では、同館所蔵作品を中心に全国から集めた約330点を展示。1914(大正4)年9月から翌年11月の間に第7号まで約200部ずつ刊行された「月映」から全点を展示するほか、出版に先駆けて3人だけが持ち合い、現在では1部しか残されていない私家版や関連作品を紹介する。
「今回の展示は約20年前から計画し、初代学芸員のころから作品を集めてきた。『月映』は刊行数が少ないため、集めるのが大変だった」と話す学芸課長の井上芳子さん。「『月映』の全容を展示するのは初めて。青年期の悩みがぶつけられた木版画には共感するところがあり、見る人の心に響くものがあるのでは」とも。
1月25日、2月8日、2月22日には、歴代の学芸員による記念講演会が開催される。2月14日には井上さんによる展示解説も行われる。
開館時間は9時30分~17時(最終入場=16時30分)、月曜休館(祝日の場合は翌日)。観覧料は、一般=510円、大学生=300円、高校生以下および65歳以上無料。3月1日まで(会期中、一部作品の展示替えあり)。