南海加太線・二里ヶ浜駅近くの水産加工業「山利」(和歌山市本脇、TEL 073-455-0013)が、直売店をオープンして2カ月がたった。
創業160年以上の歴史を持ち、7代続く同店。西脇漁港に水揚げされたしらすを仕入れ、釜揚げしらすやちりめん、つくだ煮などを製造販売している。市内のスーパーマーケットや飲食店に販売するほか、遠方は北海道まで出荷する。
以前から加工施設で対面販売を行っていたが、専用の店舗や窓口は設けていなかったため、地元の常連客以外の利用は少なかった。新設した直売所は、同社で最も古い納屋。
7代目の木村尚博さんは「販売店の構想は2年前からあったが、どういう店にするべきか悩んでいた。100年後がどんな時代になっているかわからないが、流行に流されず古き良きものを残しながら、長く愛される店舗にしたかった」と話す。
店舗デザインは日本庭園造園設計を専門にする「和想」(大阪府)。歴史ある建物の古さを生かし、梁(はり)や柱をそのまま残して改修した。店内にはテーブルと椅子を設置し、顧客とコミュニケーションしやすい空間を目指したという。
「高齢のお客さんは、私が生まれる前から山利を知っている大切な人たち。皆さん店に入ると驚くが、『ようなった』と笑顔を見せてくれる。毎日のように買いに来てくれる常連さんが、腰を下ろして休憩できる場になってよかった」と木村さん。
商品は、釜揚げしらすや天日干ししらす(以上864円)、吹き寄せちりめん(324円)、特上釜揚げしらす(500グラム=2,052円、1キログラム=3,564円)、天日干しちりめん(パック=864円、500グラム=1,944円、1キログラム=3,564円)、サンショウ入りちりめんつくだ煮、ゴマ入りちりめんつくだ煮(以上、小パック=432円、大パック=1,296円)、ちりめんしょう油(324円)など。同店でしか販売しない限定商品も用意する。
木村さんは「のれんを出してみると、初めて来てくれるお客さんが増えた。なかには『長年釣りに来ているが、知らなかった。いつからあるしらす屋なのか』と聞いてくれるお客さまもいる」と笑う。「対面で販売できる店を出すことで、若い人にも立ち寄ってもらうきっかけになれば。『しらすといえば山利』と思ってもらえるようなおいしいしらすを、海に感謝しながら作り続けていきたい」とも。
営業時間は8時30分~17時。日曜定休。