JRきのくに線和佐駅(日高郡日高川町大字和佐)駅舎がリニューアルして2カ月がたった。
1930(昭和5)年12月、国鉄紀勢西線の御坊駅~印南駅区間開通に合わせ開業した同駅。1985(昭和60)年3月には無人駅となった。現在の一日の乗客数は約80人。
開業当初に建てた木造駅舎の老朽化が進んだため、隣に新駅舎を建設。今後、旧駅舎を撤去する。新駅舎のデザインは、社内コンペで募集し、建築担当の田中康介さんの案を採用した。コルゲートパイプと呼ばれる、パイプ方向に対して直角に波付けを施した薄鋼板製の筒の一部を地中に埋めて固定し、中にベンチや集札箱、スリット状の化粧板、駅名板、掲示板、照明などを設置した。
和歌山支社の福山和紀さんは「駅員を配置していた時代に建てられた旧駅舎は現在の規模感に合わないため縮小した。今後も無人駅舎を建て替える必要が生じた場合の規模は縮小する方向になるだろう。和佐駅は建設コストとランニングコストを押さえた構造で、全国的にも珍しいデザインになった」と話す。
公共交通に詳しい和歌山大学地域連携・生涯学習センター講師の西川一弘さんは「コルゲートパイプを使いつつ、未来を感じさせるデザインの駅舎。扉がないため横雨を防げないことが欠点だが、利用客が減る中でコストダウンした点は評価できる。トイレは別に自治体が新設したので安心した」と話す。「鉄道ファンからは賛否両論あるが、ネットでは『おもしろい駅舎だから見に行きたい』という声もある」とも。
同駅では12月末から陸橋の修繕と旧駅舎の撤去工事を行う予定。