和歌山県有田川町が6月5日、「第16回わかやま環境賞」の大賞を受賞した。
県が環境活動の紹介と推進を目的に、模範的な成果をあげた個人または団体を年度ごとに表彰している「わかやま環境賞」。
有田川町は、行政と住民が一体となった3R(Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル))と廃棄物減量の取組が評価された。
同町は2006年に吉備・金屋・清水の3町が合併してできた人口約2万7000人、面積351.84平方キロメートルの町。旧吉備町で進めていたゴミ収集所を屋根付き建屋にする「ステーション化」を町内全域に広めた。ステーション化に伴いゴミの分別を徹底し、雨風や生ゴミといったものからの水漏れが少ない状態で資源ゴミを回収できるようになった。ゴミ収集所を約330カ所に集約しステーション化したことで収集業務を効率化し、それまで処理に年間約3200万円かかっていた資源ゴミが、2008年にはマイナス入札となり、現在は年間約210万円の収入になった。
住民による資源ゴミの分別徹底で削減できた費用は基金として積み立て、生ゴミを堆肥化するコンポスト容器の無償貸与制度や生ゴミ処理器購入の補助制度として住民に還元している。ほかにも、太陽光発電や太陽熱利用の設置補助といった自然エネルギー設備の普及促進、公立保育所と連携した「子ども服リユースバザー」を継続的に行っている。
同町環境衛生課の上野山友之さんは「ゴミ収集所を集約したことで、最寄りの収集所が1キロメートル以上離れてしまった住民もいるが車など運んでくれている。ステーションの管理も自治会が独自に行い、徹底した収集でゴミも削減できた。こんな事例は近隣では聞いたことがない。有田川町は住民のつながりが強く、自治意識が高いことが成果につながったと思う」と話す。
中山町長は「有田川町でも一時期はホタルが見られなくなったが、近年はまた飛ぶようになった。これも皆で環境問題に取り組んだおかげだと思っている。有田川町の表彰だが、地域住民の長年のご助力、ご協力のおかげだ。これからも皆で取り組んでいきたい」と笑顔を見せる。