和歌山・九度山町の紀州高野紙伝承体験資料館「紙遊苑(しゆうえん)」(伊都郡九度山町慈尊院、TEL 0736-54-2019)で9月24日、「わかふるコンサート」が開催される。主催は和歌山県文化振興財団「Wacaf(ワカフ)」。
同コンサートは、市民が気軽に音楽を楽しめるように、同館のほか片男波公園の万葉館(和歌山市)、紀南病院(田辺市)、和歌山県動物愛護センター(紀美野町)などの公共施設で展開するもの。昨年の紙遊苑のコンサートには約100人が足を運んだ。
同館は、弘法大師空海が技術を伝授したとされる手すき和紙「高野紙(こうやがみ)」の伝統文化と技術を伝える体験資料館。平安時代以前に開かれた「勝利寺(しょうりじ)」の境内にある。先代の住職の住居で、天皇・上皇の高野山参詣の宿泊所にもなっていた建物を改修し、1999年に開館した。
最盛期の1918(大正7)年ごろは、同町古沢・河根地域を中心に約100軒が紙すきを行っていた。厚手で丈夫な紙質だったことから、傘紙、障子紙、合羽(かっぱ)、紙袋、ちょうちんなどに利用されていたが、布地を使用した傘が普及し始めた1955(昭和30)年ごろから和紙の需要が減少し衰退した。
紙すき指導員の上田節子さんは「紙すき体験は外国人観光客にも好評。地元小学校では児童が自分で手すきした紙を卒業証書に使用するなど地域の人にも楽しんでもらっている」と話す。「コンサート会場の和室は、西側が庭園、北側は紀の川が見えるように塀が低く作られている。自然に囲まれ眺めのいい場所なので、この季節の音楽鑑賞はお勧め。演奏者を間近で鑑賞できるので、心地よい時間を過ごしてほしい」と呼び掛ける。
今年の出演者は、高橋麻衣さん(バイオリン)、門脇いずみさん(ピアノ)、「Chemin de Neige」平田侑さん(ピアノ)と高橋由起さん(フルート)、浅井由貴さん(クラリネット)、出原沙耶さん(ピアノ)、大川拓哉さん(バリトン)、中裏佳余さん(ピアノ・鍵盤ハーモニカ)。
開演時間は13時30分~。同館の開館時間は9時~16時30分(紙すき体験は要予約)。月曜・火曜休館。入館無料。