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和歌山・慈尊院で「高野山の道案内犬ゴン」追悼コンサート オリジナル曲初披露

住職の安念清邦さん(左)とゴンをかたどった石像

住職の安念清邦さん(左)とゴンをかたどった石像

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 「女人高野」の名で知られる慈尊院(=じそんいん、伊都郡九度山町、TEL 0736-54-2214)で6月5日、「高野山の案内犬 ゴンちゃん ありがとうコンサート」が開催される。

慈尊院外観

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 「ゴン」は2002年6月5日に27歳(推定)で息を引き取った、紀州犬と柴犬の雑種とみられる白いオスの野良犬。慈尊院の鐘の音を好んで聞いていたことから、いつからか「ゴン」の愛称で呼ばれるようになったという。

 同寺副住職の安念邦賢(あんねんほうけん)によると、1985(昭和60)年ごろから和歌山森林管理署高野事務所(現在の道の駅「柿の郷くどやま」)近くに住み着いて同事務所社宅と慈尊院の間を行き来するようになり、近所の小学生を学校まで見送ったり、九度山駅で降りる参拝者を慈尊院へ案内したりするようになったという。

 1989(平成元)年ごろからは慈尊院を根城にして、高野山上の山門まで続く約20キロの山道・町石道(ちょうせきどう)を案内するようになり、同ルートを利用する参拝者たちから「案内犬」として親しまれていた。

 慈尊院は、弘法大師が高野山開山の際、高野山の表玄関として伽藍(がらん)を創建し政所(まんどころ=寺務所)とした寺院。当時高野山内は女人禁制だったため、弘法大師の母も同寺に滞在し、その没後、菩提寺となった。ゴンが亡くなった6月5日は、寺伝による弘法大師の母の命日と同じ日。

 邦賢さんは「最初はただ参拝者の後をついて高野山まで行っているのだと思った。参拝者から後日送られてきた便箋7枚におよぶお礼の手紙を読み、道中で道案内をするゴンの様子を知った」と振り返る。

 犬嫌いだったという同住職の清邦(せいほう)さんもゴンには心を許し、案内犬として同院で飼うようになったという。

 今年3月、同寺を訪れたシンガー・ソングライターの妙佳(たえか)さんとラジオパーソナリティーでギタリストのバンディ石田さんがゴンの話を聞き、「高野山案内犬ゴンの歌」を製作。ゴンの14回忌となる今月5日に同曲を初披露することになった。

 コンサートではこのほか、清邦さんや邦賢さんらがゴンの思い出話を語る。ステージはゴンと弘法大師の石碑が並んだ石舞台で行う。「ゴンの石碑は同寺に眠る弘法大師の母の墓所の方向を向いている。当日は天気良く外でコンサートができれば」と清邦さん。

 開催時間は18時~20時。入場無料。

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