和歌山県かつらぎ町の四郷地区で現在、正月に向けた串柿作りがピークを迎えている。
串柿は「干し柿」の一種で、正月の縁起物として鏡餅に飾られる。一本の串の中央に6個、両端に2個ずつの干し柿が刺され、「いつもニコニコ仲むつまじく」と家内安全や健康祈願の意味が込められている。同地区では約400年前に串柿作りが始まったとされる。11月下旬頃まで外で乾燥させ、12月22日以降の競りにかけられ市場に出回る。
今年一番に皮むきを始めた農家は10月19日から生産を開始。台風が21号・22号と2週続けて通過した影響で、今年の串柿作りは例年より遅めのスタートとなった。台風後に訪れた晴天日から本格的な生産が始まり、同地区の風物詩である「串柿の玉のれん」が軒先をにぎわせている。
四郷地区は、大阪府と和歌山県の県境となる和泉山脈の標高約300メートルに位置し、暖かな日差しや山脈を越えて吹き付ける北風を生かし串柿作りを行う。4月1日には同地区内を通る大阪府和泉市とかつらぎ町を結ぶ国道480号鍋谷峠(なべたにとうげ)道路と父鬼(ちちおに)バイパスが開通。翌2日には道の駅「くしがきの里」(滝)がオープンし、大阪方面からの観光客が増加している。町役場には「写真を撮りたいが串柿作りは始まっているか」との問い合わせも寄せられているという。
大阪府堺市から訪れたという男性は「鍋谷峠道路が開通して和歌山の直売所や道の駅に訪れる回数が増えた。今の時期の串柿は皮をむきたてのものが多く、柿色の色鮮やかな光景が見られてよかった」と笑顔を見せる。