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和歌山県立近代美術館で「南画展」 画家29人・45作品ズラリ

田能村直入の「花鳥図」前でレクチャーを受ける来館者

田能村直入の「花鳥図」前でレクチャーを受ける来館者

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 和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8690)で現在、特集展示「NANGA 俗を去り自ら娯(たの)しむ」が開かれいる。

桑山玉洲「那智瀑布図」

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 同館では初の南画特集展。同館所蔵の作品や和歌山県立博物館、滋賀県立近代美術館の所蔵品も含め、画家29人の作品45点と資料16点を展示する。

 江戸時代に確立されたといわれる「南画」は、中国絵画に影響を受けた日本画技法の一つ。中国の高級官僚が専門以外の技芸で描いた文人画(ぶんじんが)や、中国江南地方の温暖な風景を柔らかな筆づかいで描く南宗画(なんしゅうが)を起源とする。明治以降は作品世界が詩文に依存している点や、様式の形骸化によるマンネリズムを批判されたが、大正時代に入り西洋画家や革新的な日本画家たちが南画を学び「新南画」を生み出し注目を集めた。

 同展では、那智の滝や有田川、紀州路など和歌山県の自然を舞台にした作品を多く展示する。伝承・伝説のある和歌山の自然環境や熊野三山の宗教性が南画家を集めたと言われ、南画の代表的な画家・土田麦僊(ばくぜん)と小野竹喬(ちっきょう)は、吉野(奈良県)を下って橋本、高野山、九度山、熊野を経て、現在のすさみ町までを写生しながら歩いたと言われている。

 学芸員の藤本真名美さんは「南画の起源である中国の意匠『気韻生動(きいんせいどう)』(=躍動する生命感)と『写意(しゃい)』(=心の景色)で描かれた内面の表現を重視する作品は、肩肘張らずに鑑賞できるので、ストレスの多い現代にぴったり。作品を眺めるだけで、古民家カフェでくつろぐような心地になれる」と話す。「滋賀県立近代美術館の所蔵作品など45点以上が並ぶ貴重な機会だ」とも。

 名古屋・神戸から来館した20代のカップルは「和歌山に観光に来て、たまたま美術館に入ったが、すてきな展示だった。江戸期の南画からは中国の影響が見えたし、説明を聞いたら大正時代の前衛性も感じ取れた。フロアレクチャーの終わりには、昔の絵も新しく見えた」と笑顔を見せる。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。観覧料は、一般=340円、大学生=230円、高校生以下と65歳以上無料。12月17日まで。

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