
CTスキャンにより明らかになった化石の姿

標本写真
- 和歌山県有田郡有田川町久野原の約7,000万年前(白亜紀)の地層から産出したクモヒトデ化石を新属新種として発表(※クモヒトデ類は、ヒトデ類・ウニ類・ナマコ類などと共に棘皮動物に含まれる)
- 「エナコスファルマ・ナガシマイ(Enakosphalma nagashimai)」と命名;「ナガシマイ」は化石の発見者である永島二人(つぎと)氏(故人・福岡市)にちなむ
- CTスキャンを用い、外からは見えない岩石中の部位の特徴も非破壊で観察することにより研究を実施
- アヤマチクモヒトデ科として世界初の白亜紀の化石で、この仲間の進化や深海に適応した過程を考える上で重要(※アヤマチクモヒトデ科はクモヒトデ類の一グループで、現生種は深海性であるが、浅海で堆積したジュラ紀の地層から化石が見つかっている。ジュラ紀の後の時代である白亜紀の化石は見つかっていなかった。)
和歌山県に分布する約7,000万年前(白亜紀)の地層から発見された、北九州市立いのちのたび博物館が所蔵する化石を、同館および石田吉明博士(東京都在住)、デビルズゴージ恐竜公園(ドイツ)、ルクセンブルク国立自然史博物館、和歌山県立自然博物館、国立科学博物館で共同研究した結果、アヤマチクモヒトデ科に属する新属新種のクモヒトデ化石であることがわかり学術誌に掲載されました。国内産のクモヒトデ化石の新属としては二例目で、近畿から初めての新種のクモヒトデ化石の報告となります。
研究では、CTスキャンを用い、外からは見えない岩石中の部位の特徴も非破壊で観察することにより、詳細な特徴を明らかにすることに成功しました。アヤマチクモヒトデ科として世界初の白亜紀の化石で、見つかった地層の特徴から、このグループが白亜紀には深海で暮らすようになっていたことが示唆されます。
現生のアヤマチクモヒトデ科は、クモヒトデの仲間のうち深海で暮らすものの中の主要メンバーの一つとなっており、約2,000万年前(新生代)に深海で堆積した地層からも化石が見つかっています。一方で、約1億8000万年前~約1億6000万年前(ジュラ紀)の化石が、浅海で堆積した地層から見つかっています。それらの間の約1億6000万年前~約2,000万年前の長い期間については、これまで、アヤマチクモヒトデ科の化石は見つかっていませんでしたが、今回、白亜紀のアヤマチクモヒトデ科としては世界初となる約7,000万年前の化石が見つかりました。発見された地層は、比較的深い海で堆積したと考えられることから、ジュラ紀には浅海で暮らしていたアヤマチクモヒトデ科の仲間が、白亜紀には深海で暮らすようになっていたことが示唆されます。また、今回見つかった約7,000万年前の化石は、より古い時代(約1億8000万年前~約1億6000万年前)と新しい時代(約2,000万年前~現在)の仲間の中間的な形態的特徴を持っており、アヤマチクモヒトデ科の進化史を考える上でも重要です。
著者:石田吉明(東京都在住)、レア・ナンバーガー・トゥイ[Lea D. Numberger-Thuy](デビルズゴージ恐竜公園[ドイツ]、ルクセンブルク国立自然史博物館)、ベン・トゥイ[Ben Thuy](ルクセンブルク国立自然史博物館)、御前明洋(北九州市立いのちのたび博物館)、小原正顕(和歌山県立自然博物館)、三上智之(国立科学博物館)、藤田敏彦(国立科学博物館)
タイトル:A new brittle star (Echinodermata: Ophiuroidea) from the uppermost Cretaceous of Wakayama Prefecture, Japan provides insights into deep-sea colonization by the extant family Ophiosphalmidae
掲載誌:Paleontological Research
論文URL:
https://doi.org/10.2517/prpsj.250009
本研究成果を広く公開するため、いのちのたび博物館にて以下のとおり特別展示を行います。

CTスキャンのデータを元に表面からは見えない部分も3Dプリンターで作製した拡大レプリカ
【詳細】より詳しい情報を含むプレスリリース資料は下記よりダウンロードいただけます。
d76777-566-669e5b5c1a731d8671fcee8d67e1e980.pdf北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館)
電話:093-681-1011
担当:自然史課 学芸員 御前(みさき)