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景色も食べ物も最高! 1周年を迎えたワカカツが「和歌山線の楽しみ方、教えます」

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提供:ワカカツ 制作:和歌山経済新聞編集部

和歌山県の紀北エリアを、紀ノ川に沿って東西に走るローカル線がある。和歌山駅から奈良県・王寺駅までの87.5キロメートルをつなぐJR和歌山線だ。

和歌山線の沿線地域を盛り上げようと昨年5月25日に始まった「ぼくらの和歌山線活性化プロジェクト~ワカカツ~」。実行委員会には高校や農協、地元飲食店など40以上の団体が名を連ね、さまざまな企画や活性化に取り組んでいる。

そのメンバーが推薦する和歌山線のいいところ、ぜひ注目して見てほしいところ、単なる移動手段にとどまらない和歌山線の楽しみ方や「ワカカツ」の活動について紹介する。

フラットな沿線エリアは自転車との相性抜群!

紀ノ川沿いには、和歌山線と並行して県が整備したサイクリングロードがある。地元でサイクリングイベントなどを開催する「紀の川サイクリングクラブ」事務局長の井口和彦さんは「紀ノ川沿いのルートは山も川もあって景観が良く、高低差が少ないので初心者も気楽に楽しめる」と話す。「折り畳み自転車を入れる輪行袋を持っておけば、疲れたら電車に自転車を持ち込んで目的地へ向かえる。片道だけ自転車で走って帰りは電車と、気楽なサイクリングも楽しめる」とも。

西笠田駅に自転車を持ち込む紀の川サイクリングクラブの井口さん(※許可を得て撮影しております)

自転車を持って行かなくても、和歌山線岩出駅と粉河駅、和歌山電鉄貴志駅前で観光レンタサイクルを実施しており、輪行で持ち運び可能な折り畳み自転車「HORIZE」(DAHON社製)が借りられる(4時間500円~、要予約)。

井口さんは「電車と自転車を組み合わせると、少ない費用でも楽しい旅ができる。季節によって景色も違い、そのとき限りの香りや温度を全身で感じられる。道もきれいになって安全なので、ぜひこの楽しみを多くの人に知ってほしい」と呼び掛ける。

昨年11月4日・11日・18日・25日に運転された「きのかわサイクルトレイン」の様子

紀の川サイクリングクラブは、毎年「ピンクリボンサイクリングin紀の川」を開催するほか、「ワカカツ」でも自転車をそのまま持ち込める臨時列車を企画。自転車で回りやすいスポットを紹介する「自転車×電車=わくわく♪Cycling&TrainMap(サイクリング&トレインマップ)」の発行など、観光サイクリングのほか輪行の普及にも力を入れる。

駅を起点に電車と自転車を組み合わせた健康的な旅。新たな休日の過ごし方にいかがだろうか。

フルーツ王国・和歌山を満喫できる「フルーツ寿司」

和歌山線沿線は県内でも屈指のフルーツの生産拠点だ。豊富な水と穏やかな気候に恵まれ、多様なフルーツが栽培されている。

紀の川市が誇る特産のフルーツから生み出された新しいグルメが、「力寿し」(紀の川市粉河)を営む力谷(ちかたに)昭夫さんが考案した「フルーツ寿司」だ。

「力寿し」で提供している「フルーツ寿司」

「メニュー化は大変だったが、おいしいフルーツを使えばおいしいすしができることがわかった。そのまま食べるより、酸味やコクが楽しめる。大地の恵みを多くの人に味わってほしい」と力谷さん。

旬の果物にチーズや海苔(のり)、ペッパーなどを加え酢飯と合うように仕上げる。春はイチゴやキウイ、ハッサクなど、秋には柿やイチジク、ブドウなど、季節に合わせたネタを使い通年で提供する。

昨年には「紀の川フルーツ体験!ぷるぷる博覧会」の一環として、和歌山線の車内で「フルーツ寿司」を提供した。「イベントをきっかけに店に来てくれる人が増えた。遠方から食べに来てくれる人もいる。貴重な体験ができた。今後は和歌山線で来た人に特典を用意するなど連携していきたい」と笑顔を見せる。

「紀の川ぷるぷる娘」ののぼりを手に意気込みを見せる「力寿し」の力谷さん

地元の新しいグルメを堪能できる同店は粉河駅から北に徒歩8分の場所にある。店前にある、「紀の川ぷるぷる娘」ののぼりが目印だ。

動画で堪能できる、和歌山線の四季

「自動改札はない。ICOCAも使えない。決して便利とは言えないけれど、確かな魅力がある」と、和歌山線の沿線風景を題材に動画を制作し、発信し続けている那賀高校放送部の部員たち。

那賀高校放送部「NAGA-B.C.C.」部員と顧問の茂田先生(最前列右から2番目)

撮影はもちろん、企画、脚本、編集まで全工程を部員たちが手掛ける。これまでに和歌山線とコラボレーションしたPR企画で6本の動画を制作。沿線の四季をテーマに、完成した動画は「NAGA-B.C.C.」名義で動画投稿サイト「YouTube」で公開している。2017年にはCM映像「ぼくらの和歌山線、はじまる。」を制作し、テレビ和歌山で放映された。

部員たちは「動画を見てくれた人や撮影中に出会った人と、沿線の話をするのが楽しい。映像映えする景色がたくさんあるのでもっと知ってもらいたい」と声をそろえる。沿線地域は開発が進んでいるため「田んぼが無くなるなど、この間まで当たり前だった景色がどんどん変わっていってしまう。今を撮影して未来に残していきたい」とも。

もし和歌山線の近くで撮影している高校生がいたら「那賀高の放送部?」と声を掛けて、会話を楽しむのもいいかもしれない。

「ワカカツ」と新型車両導入で和歌山線は変わる

このように「ワカカツ」メンバーたちは地域活性化に向けてそれぞれに活動し、和歌山線の魅力を積極的に発信している。その活動は関西圏の創造的な活動を表彰する「クリエイティブアウォード関西2017-2018」で評価され、3位入賞を果たした。その積極的な活動に触れて、乗車する人やイベントに参加する人、沿線に足を運ぶ人も増えてきている。

JR西日本和歌山支社・総務企画課担当課長の小谷典史さんは「今後急激な人口減少が予想されるなか、このまま何も手を打たなければ行き着くところまで行ってしまう。どうしようもなくなる前にできる限りのことをしなければならない。メンバーから提案された企画を実現できるよう協力していきたいし、ぜひ自治体でも公共交通を核に据えたまちづくりに取り組んでほしい」と話す。

「ワカカツ」の立ち上げから関わる同課の中島有紀さんは「地域の人たちが路線を応援してくれているのを感じるようになった。次の1年はメンバー同士のつながりやSNSの発信をより強化していきたい」と意気込む。

JR和歌山線マスコットキャラクター「わっふる」とワカカツ実行委員会事務局の中島さん

JR西日本は、2019年春から、和歌山線に約30年ぶりの新型車両を導入する。近畿エリア初の227系車両は車載型IC改札機を搭載し「ICOCA(イコカ)」に対応する(IC使用開始は2020年春予定)。これによりIC改札機がない駅で乗り降りでも、乗降口付近に設置された車載機にカードをかざして運賃を支払えるようになる。伊藤義彦和歌山支社長は新型車両発表の記者会見で、「車両は鉄道サービスの中でも大きな割合を占めるサービス。和歌山線沿線は資産や文化がたくさんあり末永く成長できるエリア。新車両導入で魅力アップの一役を担い、地元の皆さまと和歌山線を盛り上げたい」と話した。

大量移動・大量輸送で地域社会を発展させてきたローカル線が、人口減少社会に突入する中で新たな局面を迎えている。税金や再開発に頼らず、地域住民と手を取り合って「乗りたくなる」路線を目指す「ワカカツ」は、沿線地域のみならず全国の地方都市の希望となり得るプロジェクトだ。市民にも地域社会と公共交通の未来の在り方を問いかけている。

ワカカツでは、新型車両導入に合わせた企画も予定しているという。これからも和歌山線とワカカツから目が離せない。最新情報はフェイスブックで確認できる。

INFORMATION

ぼくらの和歌山線活性化プロジェクト[ワカカツ]

[ワカカツ]は地域の皆さま・JR西日本が一体となり、和歌山線と沿線地域の未来を築くプロジェクトです。和歌山線と沿線の活性化を目標に、様々な取り組みをみんなで行っていきます。

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