和歌山県かつらぎ町の四郷地区で現在、串柿のつるし干しがピークを迎えている。
同地区は、大阪府と和歌山県を区分する和泉山脈の標高約300メートルに位置する。山肌を照らす暖かな日差しや山脈を越えて吹き付ける北風、標高差による霧の影響を受けない環境に恵まれ、串柿の自然乾燥に適している。
今年の柿は熟成が早く、10月末から天日干しが始まった。串柿は干してから10~15日後に渋が抜け、その後「棒押し」と呼ばれるローラーで圧(お)し、形を平たく整える。さらに、天日干しとローラーかけを何度か繰り返すことで、あめ色に乾いた柿の表面に満遍なく粉がふき始める。正月の飾りとして、12月22日頃の出荷を予定している。
つるし干しが始まると、同地区には大勢の観光客が訪れる。団体客は関西圏からバスツアーが多く、自家用車で訪れる観光客の大半は平・東谷・神野地区のパーキングを利用する。神野地区はかやぶき屋根の民家を背景に写真撮影できるため、写真家に人気のスポットとなっている。
同地区で伝統芸能の継承活動をする「四喜の会」代表の辻本英貴さんは、「四郷の串柿づくりは400年以上のを歴史がある伝統行事。北海道から九州まで、全国から観光客が来てくれる。毎年来る人もいてうれしい」と話す。同会では、ツアー受け入れやイベントで串柿作り体験やガイドを行う。
四郷地域交流センター「ともがき」では11月23日、串柿作りの体験や送迎バスでめぐる串柿の里、地元の食材を使った弁当の販売、軽トラ市を開催する。