JR西日本が来春、和歌山と奈良をつなぐ和歌山線に約30年ぶりとなる新型車両を導入すると発表した。
奈良と和歌山に共通する文化・歴史・自然の奥深さを表現した緑色の新型車両
現在運行する車両は、電化時代の1984(昭和59)年導入した105系・117系。新型車両は広島エリアで導入が進む227系。近畿エリアでは初の導入で、2019年から2両編成の28本、合計56車両を順次置き換える。新型車両には「車載型IC改札機」を搭載し、2020年春の全車両置き換え完了後は交通系ICカード「ICOCA(イコカ)」に対応する。
和歌山線は、和歌山駅から王寺駅(奈良県)までの87.5キロメートルをつなぐ路線。県内には、和歌山駅から隅田駅までの22駅があり、うち有人駅は和歌山、岩出、橋本、高野口、笠田、粉河、名手、打田の8駅。半数以上の駅が無人で、ICカード対応改札機を設置するのは和歌山駅のみ。利用者からはICカード対応を求める声があったという。
同社和歌山支社は昨年、和歌山線沿線地域の活性化を目指し、企業や学校、その他団体などと連携する「ぼくらの和歌山線活性化プロジェクト『ワカカツ』」を立ち上げ、「アートトレイン」や「サイクルトレイン」などに取り組み利用を促す。
伊藤義彦和歌山支社長は「車両は鉄道サービスの中でも大きな割合を占めるサービス。和歌山線沿線は資産や文化がたくさんあり末永く成長できるエリアなので、新車両導入で魅力アップの一役を担いたい」と話す。「ICOCAエリアが拡大することで県外からのお客さまにも来てもらいやすくなる。駅舎のシンプル化や駅前広場の整備なども行いつつ、沿線の人たちと和歌山線の未来を描いていきたい」とも。