「カナダミュージアム」(日高郡美浜町三尾、TEL 0738-20-6231)が和歌山・美浜町の三尾地区にオープンして1カ月がたった。経営はNPO「日ノ岬・アメリカ村」。
通称「アメリカ村」と呼ばれる同地区。村の活路を見いだそうと1888(明治21)年に同地区出身の工野儀兵衛(くのぎへい)は単身カナダへ渡航。バンクーバーのフレーザー河で鮭が大量に捕れることを故郷に伝えたところ、翌年からカナダへの集団移民が始まった。1940(昭和15)年には同地区出身者は2千人に達したという。出稼ぎや長期生活を終えて帰国した人たちがカナダの生活様式を持ち帰り、同地区にカナダの暮らしや文化が根付いた。
同館は1934(昭和9)年頃に造られた木造2階建ての民家「野田邸」を改修。外壁は鎧下見板張りでペンキ塗装仕上げ、屋根は洋瓦葺(ぶ)き。玄関には台座の上に立つ2本の円柱のポーチがある。館内には当時のパスポートやコーヒ―抽出器具「パーコレーター」、カナダ製の蓄音機など当時の生活品などを展示する。
1階にはカフェ「メイプル」を併設。メニューはコーヒー(400円)、紅茶、オレンジジュース(以上350円)など。
同館の三尾たかえさんは「国内の親類に会いに行く感覚で両国を行き来したり、クリスマスにお互いの国の物を送り合ったり交流が盛んだった。世代交代して親が現地の言語しか話せなくなると言葉が壁となり、交流や当時を知る人が減ってきたが、カナダ人がこの地区にある親類の家を一緒に探してほしいとやって来たこともある」と話す。「ここを情報発信の場所にし、歴史背景やチャレンジ精神旺盛な気質を持った先人たちのことを目に見える形で残していきたい」と意気込む。
開館時間は10時~16時。休館日は火曜と年末年始。高校生以上=150円。