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和歌山・美浜町で「大賀ハス」開花 成長不良も二度咲きに期待

開花した大賀ハス

開花した大賀ハス

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 和歌山・美浜町日の岬灯台近くの大賀池(日高郡美浜町三尾)で6月15日、大賀ハスが咲き始めた。

大賀池の様子(2015年6月22日撮影)

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 大賀ハスは1951(昭和26)年、理学博士の大賀一郎さんが検見川(千葉市)にある東京大学厚生農場の泥炭層から採掘し、発芽・開花させた古代のハス。検見川一帯の地質考古学的研究や当時開発されたばかりの放射性炭素年代測定法から、推定約2000年前のものとされている。

 1962(昭和37)年には、大賀博士と師弟関係で日高高等学校教諭だった阪本祐二さんの仲介で、千葉県教育委員会を通じて美浜町に分根。当時は日の岬パークの開発など観光事業が進んでおり、その目玉として同池が造成され、大賀ハスが植え付けられたという。

 翌年には阪本さんの発案で、同池で採取した果実50個と弁天池(千葉市)の果実50個を大賀博士の墨書と共に日中友好使節団に託し、友好親善の印として中国政府に寄贈した歴史を持つ。

 同池を管理する和歌山大賀ハス保存会会長で、阪本祐二さんの長男の尚生さんは、当時のハスの植え付けについて「1度目はうまく行かず、2度目は大賀博士がやってきて直接指示したと聞いている。保存会が発足して50年。その間も雑草が生い茂り生育が悪かったり、肥料が安定せず花芽が枯れてしまったりと、ハスを守るのは大変だった」と振り返る。「2000年ごろから肥料を変え、冷たい水が入らないよう整備して、ようやく安定して花が咲くようになった」とも。

 花はピンクの大輪で、早朝から開花し夕方には閉じる。1日周期で開閉を繰り返し、4日目に散る。同池では例年大賀博士の命日の6月15日前後から咲き始め、1カ月ほど美しい花を楽しむことができる。

 尚生さんは「今年は葉っぱの広がりが悪く、花の生育は不良だが、近年は8月に再び咲く『二度咲き』が起こっている。今年は成長が遅いので、8月の開花もあるかもしれない」と期待を寄せる。

 7月4日には観蓮会が開かれる。20時~。参加無料。

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