「龍神チェンソーアート・デイズ2018」が11月23日~25日、産品販売所「龍神は~と」(田辺市龍神村龍神)で開催された。主催は、チェーンソーアートの世界大会で優勝経験を持ち「チェンソーアート・ジャパン」(龍神村柳瀬)主任彫刻家の城所ケイジさんと、城所さんが講師を務める「龍神チェンソーカービング倶楽部(クラブ)」。
同イベントはチェーンソーを使った木製彫刻の実演会。昨年まで地元のイベント「翔龍祭(しょうりゅうさい)」で実演してきたが、今年、初めて単独でイベントを行った。会場は道の駅「龍神」に近く、国道371号線沿いであることから、観光客でにぎわった。集まった人々は、豪快な音を立てながら繰り広げられる繊細な彫刻の過程を楽しんだ。
初日は城所さんと同クラブのメンバー6人が参加。龍神産のスギの間伐材や台風の倒木材を適当な大きさに切り出すと、来年の干支(えと)・イノシシや寄り添うフクロウ、木の幹を駆け登るネコなどの作品に仕上げた。1日に1人当たり2種類以上を作り上げ、実演した作品に加え、動物を中心とした作品を販売した。
城所さんは2001年にチェーンソーを使った彫刻制作を始め、4年間アメリカで修業。甲斐ノ川小学校跡地のアトリエ住宅に2005年に入居した。以降、龍神村を拠点に制作活動を続ける。2005年~2008年の国際大会では、4年連続チャンピオンに輝いた。
同クラブには、県内外の林業従事者や会社員、定年退職者など20人近くが参加。メンバーは日頃から作品制作や美術館・工房巡り、機材や素材の探求を通じて技術向上を図る。
会長の松本晋平さんは「チェーンソーは削ったり突いたりできるので加工が早い。『こんな細かいことができるのか』と驚かれるが、細部は小型チェーンソーを使い分けている。城所さんは日常的に作っているので、削る回数が少なく断面がきれい。ぜひ実物を見てほしい」と呼び掛ける。
城所さんは「初めての単独イベントだったが、例年より来客者が多く、作品がいつもよりよく売れた。小さいものから大きいものまでニーズはさまざまで、毎年、干支の作品を県外から買いに来てくれる人もいる」と話す。
近所の男性は「このイノシシは、かわいいし、いかってる(怒っている)とこがええわなあ。細かい芸ですごいわ。勢いあるように見えるのがええ」と笑顔を見せる。