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ドキュメンタリー映画「牧師といのちの崖」公開へ 和歌山の牧師・藤薮庸一さんに密着

ドキュメンタリー映画「牧師といのちの崖」のチラシを手にする牧師・藤薮庸一さん

ドキュメンタリー映画「牧師といのちの崖」のチラシを手にする牧師・藤薮庸一さん

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 NPO法人「白浜レスキューネットワーク」(西牟婁郡白浜町)代表理事の藤薮庸一さんに密着したドキュメンタリー映画「牧師といのちの崖」が1月19日、「ポレポレ東中野」(東京都)で公開される。

白浜町の観光名所・三段壁

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 藤薮さんは白浜バプテストキリスト教会の牧師で、同町出身の46歳。子どものころから牧師になりたかったという藤薮さんは、東京基督教大学に進学。1996年に同教会伝道師に就任し、1999年に江見太郎さんの跡を継いで牧師になった。その際、江見さんが1979(昭和54)年から続けていた「三段壁いのちの電話」の活動を引き継ぎ、同法人を立ち上げた。

 「三段壁」は同町の千畳敷南にそそり立つ高さ50メートルの断崖で国指定名勝。通年多くの観光客が訪れるが、自殺志願者が訪れる場所としても知られる。「いのちの電話」は三段壁に看板を立て電話番号を掲示し相談に乗る。誰でもかけられるよう、電話ボックスに10円玉を置き相談者の声に耳を傾ける。同法人では必要があれば相談者を保護し、自立支援を行っている。

 同映画は加瀬澤充監督が4年間、約100日間にわたり藤薮さんに密着し日常を撮り続けたドキュメンタリー作品。

 藤藪さんは「完成前の映像を見て、映画的な編集が加わってドラマチックになるものだと思っていたら、完成した作品が本当にそのままの日常の映像で驚いた。加瀬澤さんのすごい所は『完全に存在を消してしまえること』で、私や周りの人もだんだん撮られていることを忘れてしまい、素のままの日常を送っていた。何事もない時も、怒った時も、ありのままの姿が映っている。悩みがある人や自殺問題に取り組む人、将来を考える若い人に見てもらいたい」と話す。

 加瀬澤監督は「自殺は自分とは関係のない遠い世界の出来事だと扱われがちだが、現場では特別ではなく普通のこと。日常が伝わるよう淡々と編集した」と話す。「藤薮さんは牧師だが、横に並んで同じ目線で物を見て考えてくれる人。彼を通して始まる再生の物語で問題に触れるとともに、海も砂浜も美しく空気が気持ちいい白浜に足を運ぶきっかけになれば」とも。

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