和歌山市在住の不動産プランナー・岸本千佳さんが書籍「不動産プランナー流建築リノベーション」(学芸出版社)を執筆し、5月30日に書店「本屋プラグ」(和歌山市万町)でトークイベントを行った。
(左から)新刊と2016(平成28)年刊行の「もし京都が東京だったらマップ」
岸本さんは1985(昭和60)年、京都生まれ。滋賀県立大学で建築を学び、東京の不動産ベンチャー企業でシェアハウス事業やDIY事業の立ち上げを行った。2014(平成26)年に京都にUターンし不動産会社「アッドスパイス」(京都市)を設立。不動産の企画や仲介、管理までを一括で引き受ける。
結婚を機に和歌山に住み、京都と和歌山の2拠点生活を送る岸本さん。和歌山ではオフィスビルの空いた空間に、賃貸住宅を作る事業を行い、現在は京橋近くのビル3階をファミリー向け賃貸住宅と4室のスモールオフィスに改装し、入居者を募っている。
同書では「不動産プランナー」の仕事紹介から始まり、これまで岸本さんが手掛けてきた物件の事例を紹介。線路沿いで電車音がうるさい環境を逆手に取り、アパートを音が出せるシェアアトリエに改装した「SOSAK KYOTO(ソウサク キョウト)」(京都府京都市)や、町家と建具工場だった建物を、焼き菓子店・フレンチビストロ店・ヘアサロンとイベントスペースが入る複合施設「中宇治yorin」(宇治市)など、いずれも地域の歴史や背景などの特性を取り入れた物件を紹介する。
同イベントでは岸本さんが「私の仕事」をテーマに、一般的な建築系や不動産系の仕事と不動産プランナーの違いや事業を始めた経緯、これまでに手がけた事例や現在取り組んでいる物件などを紹介した。参加者からは近隣商店街の空き物件などが話題に上り、活発な意見交換が行われた。
岸本さんは「和歌山にも多くの空き物件があるので、ぜひ不動産オーナーや建築系・不動産系の人に手に取ってもらいたい」と話す。「和歌山は飲食店が多いが、その近くに住む人、住みたいと思わせる物件が少ない。郊外の一軒家のような画一的な住み方ではなく、街に合った住み方の選択肢を作っていきたい」とも。
四六判ソフトカバー、256ページ。価格は2,376円。
※物件名に誤りがあったため修正しました(6月12日14:00訂正)。
※書店でのイベントについて加筆・訂正しました(6月13日12:00訂正)。