小正月(こしょうがつ)の縁起物「餅花(もちばな)」が現在、有田川町役場(有田川町大字下津野)などに飾られている。
餅花は繭玉(まゆだま)とも呼ばれ、ヤナギやミズキなどの枝に紅白の餅をちぎってつけた縁起物。1月15日の小正月に、1年の五穀豊穣(ほうじょう)を祈って飾る。松尾芭蕉の句「餅花やかざしに挿(さ)せる嫁が君」にも詠まれている。
同町清水地域では多くの集落で餅花作りが行われていたが、現在では粟生(あお)地区など一部で地区のみ行われているという。「明日の粟生を考える会」は約15年前から年末に、枝ぶりのよい木についた餅を飾り付けた餅花を地域の役場や温泉施設などに寄贈している。
会長の坂上晴生さんは「餅花の風習は全国的にも減ってきているが、寄贈すると『かわいらしい』と好評で長期間飾ってくれているところもある。正月の風習なので1月いっぱいくらいはいろいろな場所で飾っているので見かけたら足を止めてもらえれば」と話す。
中山正隆有田川町長は「毎年、餅花をいただくと新年に向け、すがすがしい気持ちになる。清水地域は『鬼追いドンド』や粟生の『おも講』といった郷土行事が残っているので、餅花も地域の風習として残していってほしい」と話す。