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和歌山の重要文化財「旧中筋家住宅」の3階「望山楼」特別公開 春の眺めを楽しむ

旧中筋家住宅の望山楼

旧中筋家住宅の望山楼

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 国指定重要文化財「旧中筋家住宅」(和歌山市祢宜、073-465-3040)で3月20日、主屋3階の「望山楼」の特別公開が行われた。

望山楼から眺める高積山

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 中筋家は、1585(天正13)年の羽柴秀吉による根来攻めを逃れ、根来から和佐地区に移ってきた文貞坊(ぶんていぼう)に始まるとされる。4代目良政が1687(貞享4)年に禰宜(ねぎ)村の庄屋となり、5代目良重が1750(寛延3)年に和佐組の大庄屋になってから明治まで6代にわたって大庄屋を務めた。

 同住宅は、屋敷地が南北約57メートル、東西約40メートル、敷地面積約2200平方メートル。8代目良秘が1852(嘉永5)年に建てた。主屋(おもや)は20畳の大広間、3階の望山楼など広い接客空間が特徴で、紀の川流域随一の大規模民家だったという。1974(昭和49)年には、主屋のほか表門や長屋蔵など六つの建物が国の重要文化財に指定された。2000(平成12)年から和歌山市の管理となり約10年にわたって保存修理事業を行い、2010(平成22)年から一般公開している。

 望山楼は主屋の3階10畳の部屋で、年に2回、春分の日と秋分の日に公開。東西と北側の三方に大きな窓を備え、東に高積山、西に和佐の田畑と岩橋(いわせ)の山塊、北に和泉山脈の眺めを楽しめる。当時は客を招いて宴会が催され、四季折々の景色を楽しんだとされる。

 市内から訪れた女性2人は「当時の技術で3階建てにしたところがすごい。桜や紅葉の季節の景色はもちろん、夜の山の景色などもきれいだったのではないか。昔の人のそういう楽しみ方が粋ですてき」と話す。

 管理事務所の井上信彦さんは「見学に来られた人には建物の説明だけでなく、年貢や戸籍の管理など当時の大庄屋の役割を話している。どのように使われていたかを想像することで、当時の人々の暮らしや文化に思いをはせてほしい」と話す。「春分の日はヤマザクラなどの花が楽しめる。秋分の日は収穫前の田園風景を楽しめるので足を運んでほしい」とも。

 次回の公開は9月22日(秋分の日)。

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