社会福祉法人「一麦会」(和歌山市岩橋)理事長の山本耕平さんが3月、書籍「ひきこもりソーシャルワーク 生きる場と関係の創出」を「かもがわ出版」(京都府)から刊行した。
一麦会理事長・山本さんの著書「ひきこもりソーシャルワーク 生きる場と関係の創出」
引きこもり当事者と家族、支援者が共に取り組む実践を紹介した同書。著者の山本さんは和歌山出身。和歌山市保健所精神保健福祉相談員を経て、現在は「一麦会」理事長のほか、佛教大学教授も務める。
山本さんは同書で、引きこもり支援者、当事者、家族に向け、「引きこもり」を悪ではなく「一つの生き方の選択」と捉え、無理に外に連れ出す支援に疑問を投げかける。支援する側と支援される側ではなく「協同的関係性」で一緒に生活を作り、生きづらさを感じやすい社会からマイノリティーを脱落させない社会に共に変えていく観点から、その実現方法を説く。
山本さんは「和歌山は全国的に見ても早期から不登校や引きこもりの対応に取り組んできた地域で、長い取り組みの歴史がある。引きこもりの人が自分のペースに合わせて働ける場として農業を活用した事業、県内に多くある空き家を集いの場やシェアハウスにするなど、和歌山の独自性を生かした支援ができる。現在の引きこもり支援は治療的立場からのアプローチが多い。本書では、より社会的な手法として、引きこもりつつ育つ生活を共に作るため、出会い、危機介入、制限からの解放の3つの局面から解説しているので活用してほしい」と話す。
B5判、148ページ。価格は2,420円。