企画展「コミュニケーションの部屋」が8月15日、和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8690)で始まった。
薬きょうとオイルパステルを使った作品「7.62MM 7色入」(作者=君平、ルーム3)
展覧会に並ぶ作品の作者、観覧者、展覧会を作る美術館などさまざまな立場からコミュニケーションについて考える同展。同館の収蔵作品を中心に62作家121点を、5つの「ルーム」に分けて展示する。
ルーム1「伝えること(ば)/伝わらないこと(ば)」では、コミュニケーション手段の一つ「ことば」に関する作品を展示。ルーム2は「見る/見られる」をテーマに、自画像やモデル画、高さ約2メートルの肖像写真などを展示する。ルーム3「ともに見ること:あなた/だれか」では、中央に置いた作品から同展企画者が思い巡らせた作品を展示し、観覧者はどのように感じるかを問い掛ける。ルーム4は「ディス/コミュニケーションの部屋」をテーマに、ずれや誤読、誤解など伝わらないことが美術においては面白いことであると前向きな提案を行う。ルーム5は「協働の向こうがわ」として、奈良県障がい者芸術祭「HAPPY SPOT NARA(ハッピースポットナラ)2011-2012」をきっかけに、前川紘士さんと那須大輔さんが始めた協働制作の作品や記録などの展示を行う。
関連企画として、前川さんを招いたアーティストトーク(9月18日)やワークショップ(9月19日)、話をしながら作品を楽しむ鑑賞会「だれでも美術館部」(9月26日、10月2日)、小学生対象の作品鑑賞会「こども美術館部」(10月2日、3日)などを開催する。
同館学芸員の青木加苗さんは「各ルームの初めの解説パネルで、あえて『わたし』と名乗り展覧会の企画者を意識してもらえるようにした」と話す。「展覧会は、作品を介して作者や他者とコミュニケーションする『コミュニケーションのための空間』。1人でじっくりと作品を楽しむのもいいが、ほかの人とコミュニケーションを取り、感じたこと、作品の解釈の違いなどさまざまな価値観も楽しんでもらえたら」とも。
開館時間は9時30分~17時。入館料は一般=520円、大学生=300円。フロアレクチャーは9月11日、10月10日。10月10日まで。
※入館料に誤りがあったため修正しました(2021年8月20日 10:00修正)。