映画「ONODA 一万夜を越えて」の試写会が9月19日、「海南nobinos(ノビノス)」(海南市日方)で行われ、関係者約100人が参加した。
同作は、フィリピン・ルバング島のジャングルに太平洋戦争終結後約30年間潜伏し、1974(昭和49)年に帰国した元陸軍少尉の故小野田寛郎さんを題材にしたフランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本の国際共同制作作品。監督と脚本はフランス人のアルチュール・アラリさん。第74回カンヌ国際映画祭で、「ある視点」部門のオープニング作品に選ばれた。
小野田さんの故郷・海南市で開かれた試写会には、主演で小野田さんの青年期を演じた俳優の遠藤雄弥さんのほか、小野田さんの親族で宇賀部神社の宮司・小野田典生さんも参加した。当日は、遠藤さんが宇賀部神社を参拝。典生さんから寛郎さんが肌身離さず持っていた千人針や当時の資料の説明を受けた。
遠藤さんは「海南市には初めて来たが、緑が豊かで日本らしさが残っている。神社では小野田さんへの感謝の気持ちを込めて祈った」と話す。「戦争下という極限状態にあって人と人はどんなつながりを持つのか、人としてのあり方を問い掛ける作品になった」と力を込める。
典生さんは「ルバング島での話はあまり本人には聞かなかったが、誰一人知らない彼の年月を映像化してくれて良かった。映画を見て、『戦争を始めてはいけない』と言っていた言葉が実感できた」と話す。
10月8日からTOHOシネマズなどで全国公開。県内ではジストシネマ和歌山で上映する。