写真家・松本時代さんが初の写真集「電車は止まらない」が芸術新聞社(東京都千代田区)から発売された。
松本さんは和歌山市出身の39歳。京都造形芸術大学(現京都芸術大学)情報デザイン学科を卒業。在学中に写真を認められたことをきっかけに写真の道に進んだ。卒業後、スタジオカメラマン、芸人などを経てフリーの写真家に転身。2017(平成29)年から世界中を旅しながら撮影を続けている。
同書は、2018(平成30)年から1年半にわたり、高度成長期を迎えるバングラデシュで列車の屋根に無賃乗車する老若男女を写した作品集。2021年、法規制で列車の屋根に乗る行為は禁止された。
松本さんは「30歳を過ぎた頃から『お金にならなくても、自分の撮りたいものだけを撮りたい』と思い、カメラ1台を手に東ヨーロッパやアジアなど各国を回った。バングラデシュで電車の屋根に乗って移動する人々を見た瞬間、『これだ!』と感じた。国が成長する過程で、電車の屋根に人々が乗って移動する行為は数年で禁止になると知り、自分も400回以上、屋根に上り、シャッターを切った」と話す。「バングラデシュで優しくされたこと、悲しい思いをしたこと、救われたこと、屋根の上で出会ったユニークな仲間たちのことを写真と文章で表現した。バングラデシュでの1年半を、ぜひ一緒に駆け抜けてほしい。自分の側にいる大切な人を、より大切に思うきっかけになれば」とも。
B5変形判、144ページ、オールカラー。価格は2,530円。主要書店のほか、アマゾンや楽天ブックスなどで取り扱う。