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和歌山県立近代美術館で「妻木良三 はじまりの風景」展 夏休み企画で

収集品のウニの殻を紹介する妻木さん(左)

収集品のウニの殻を紹介する妻木さん(左)

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 「なつやすみの美術館12 妻木良三『はじまりの風景』」が7月5日、和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8690)で始まった。

和歌山県立近代美術館の「なつやすみの美術館12」で展示する妻木さんの作品「境景」シリーズ

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 「なつやすみの美術館」は、さまざまな美術の楽しみ方を提案する夏の企画展。2011(平成23)年に始まり、今回で12回目。今年は「はじまりの風景」をテーマに、湯浅町出身の美術家・妻木良三さんの作品や作家蔵のコレクション、妻木さんが同館所蔵品約1万3000点から選んだ作品約100点を紹介する。

 妻木さんは油絵を専攻し、武蔵野美術大学大学院在学中にモチーフの食器の下に敷かれた白い布に魅力を感じ、鉛筆のみで布のひだを描いた。2008(平成20)年に湯浅町に戻り、実家の本勝寺で僧職を務めながら、鉛筆のみで独自の世界を表現する。

 同展は6テーマに分け、展示する。妻木さんが鉛筆で描いた最初の作品を皮切りに、1つ目のテーマ「はじまりの○『境景』」では、円形や楕円形の紙などに描いた「境景」シリーズを紹介。5つ目のテーマ「コレクションの部屋」には、妻木さんが海辺や森林で採取したアオウミガメの甲骨やウニの一種「タコノマクラ」の殻、シカの頭骨、アンモナイト化石などの収集品のほか、和歌山県立自然博物館から借り受けた化石などを展示する。妻木さんが作業場で収集品を保管するビンテージの木製棚を設置するなど、作家の「部屋」を見せる。

 学芸員の奥村一郎さんは「妻木さんは波や雲、海岸や山を思い起こさせる柔らかな形が描くが、具体的な情景ではなく、どこかであり、どこでもない。本展は作家本人がキュレーションに参加した。妻木さんの世界観に触れてほしい」と呼びかける。

 妻木さんは「私の作品だけにとどまらず、収集品も一緒に展示する面白い提案をいただいた。自然界の造形は美しい。植物の化石は絵画的で、貝の化石は彫刻的だ。美術作品以外にも身近で集めたものを多く展示したので、子どもたちにも楽しんでもらえる。夏休みに見に来てくれたらうれしい」と話す。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。観覧料は、一般=520円、大学生=300円、高校生以下、65歳以上、障がい者、県内在学中の外国人留学生無料。9月4日まで。

※妻木さんのコメントを修正しました(2022年7月9日8時30分)。

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