和歌山県内産出木材を燃料に活用する「有田川バイオマス発電所」(有田川町修理川)の稼働開始から1カ月がたった。経営は「有田川バイオマス」(同)。
同社によると、年間発電量は一般家庭1600世帯分に相当する6700メガワット時を見込み、固定価格買取(FIT)制度により、全量を「関西電力送配電」(大阪市)に売電する。燃料の年間約1万トンの木質チップは、全て県産の未利用木材でまかない、地域林業に貢献する。発電で生じた熱は、チップ乾燥に使うほか、近隣の温泉施設「かなや明恵峡温泉」(修理川)でも活用し、地域内の資源循環を目指すという。
地域主導の意思決定を目指す同社の出資比率は、県内企業の「原見林業」(日高川町大又)と「川口建設」(田辺市龍神村)が66パーセント、地域外のシン・エナジー(神戸市)が34パーセント。地域住民や個人投資家が出資者となる市民出資型ファンドを導入する。
11月6日、有田川バイオマスがきびドーム(有田川町下津野)で開催した出資説明会には、オンライン配信を含め約20人が参加した。発電所の概要やファンドの仕組み、申込手順を説明し、10件を超える質疑応答が行われた。同社役員の原見健也さんは「皆さんと一緒に有田川バイオマスを育てていきたい」と呼びかけた。
同ファンドの募集金額は500万円。完工と同時に募集を始め、11月9日には186万円が集まった。