窯元「陶芸-KI・TO・RA-(キトラ)」(有田川町杉野原、TEL 0737-26-0451)で1月27日、今年初めての窯出しが行われた。
年明け最初に焼成した陶器を窯から取り出す作業は「初窯」と呼ばれる。24日に急須や茶わんなど、約60点を窯に入れ、焼き上がった器を取り出した。
同施設代表の陶芸家・白藤久明さんは有田川町出身の43歳。短大で陶芸を学び、北海道で陶芸体験の講師を務め、Uターン。中学校美術科の講師を経て、2003(平成15)年に開窯し、陶芸体験の受け入れも始めた。2010(平成22)年には、有田川町がゆかりのある秋篠宮家に献上した酒器を制作。施設名は空海が祈祷(きとう)して田を開いた言い伝え「祈祷田(きとうた)」が語源とされる同町遠井区の地名にちなむ。これまで体験に訪れた人数は延べ6000人以上になり、昨年20周年を迎えた。
アトリエでは、蔓(つる)をモチーフに人生の展開を表現するシリーズ「蔓模様」や独自のキャラクター「おにっこ」など、白藤さんの作品を販売する。マグカップ(2,530円~)、皿(2,200円~)、茶碗(2,530円~)など。
白藤さんは「木の灰を釉薬(ゆうやく)に用いる灰釉陶器では有田川の特産品であるサンショウやミカンの木で釉薬を作っている。一つ一つ手作りで形はいろいろ。人もそれぞれ違うので、器もきっちり同じ大きさにはそろえていない。一度手に取ってみてほしい」と話す。