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紀州漆器のひな人形が販売1カ月で完売 7年ぶり製造再開 安定生産目指す

海南市黒江地区で生産を再開した漆器の「紀州雛」

海南市黒江地区で生産を再開した漆器の「紀州雛」

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 紀州漆器協同組合(海南市船尾、TEL 073-482-0322)が2月1日、海南市黒江地区の郷土土産品「紀州雛(きしゅうびな)」の販売を始めたところ、1カ月たたずに完売した。

ウレタン塗装の「紀州雛」

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 7年ぶりに製造を再開した同人形。元々は海南市黒江地区で漆を使った土産品として開発され、1932(昭和7)年から製造されていた。2016(平成28)年に人形を作っていた漆器店が廃業し、生産が途絶えた。桃の節句が近づくと、個人や小売業者などから同組合に購入したいと問い合わせが寄せられたことから、2018(平成30)年、同組合の若手有志が「紀州雛復活プロジェクト」を結成。2023年11月の紀州漆器まつりで試作品をお披露目し、2月までに丸型で高さ8センチ程度の伝統的な本漆の紺・赤、ウレタン塗装の白・桃色の約20対の「紀州雛」を生産した。

 同組合の小柳卓也事務局長によると、九州で高齢の職人が作っていた従来の木地の入手が困難になったことに加え、製造していた漆器店で技術が継承されなかったことが重なり、製造再開には約5年を要したという。現在は紀州漆器協同組合が事業として全工程を黒江地区で取り組む。木地は先端木材加工機械を持つ事業所が新たに製造。紀州漆器の職人たちが伝統技法で手塗りし、絵付けを行っている。

 小柳さんは「住環境の変化もあり、手のひらサイズで、棚の上に手軽に飾れ、日本の伝統を感じられる漆器のひな人形はニーズがある。県内外から購入を希望する声がある。生産を再開できてよかった」と話す。「一度は途絶えた伝統だが、若手職人が精魂込めて作った新たな『紀州雛』も素晴らしい出来だ。主力の土産品となるよう、生産を拡大していきたい」と意気込む。

 生産が安定するまで、当面は同組合でのみ販売する。今年3月までの生産分は完売し、現在は来年販売分の予約を受け付けている。

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