
和歌山大学観光学部の木川剛志教授が7月10日、ノンフィクション作品「横須賀1953 『混血児』洋子=バーバラの物語」を刊行した。発行元は「えにし書房」(東京都千代田区)。
木川教授が監督を務めた映画「Yokosuka1953」の内容に加え、映画では語られなかった背景や自身の葛藤、読者への問いかけなどをまとめた同書。戦後の混乱期に米兵と日本人女性との間に生まれ、5歳で国際養子縁組によりアメリカに渡ったバーバラ・マウントキャッスル(日本名=木川洋子)さんが、自身のルーツと向き合い、母の足跡をたどる旅を描く。
2018(平成30)年、木川教授はSNSを通じ、見知らぬアメリカ人女性からの「キガワ・ヨーコという女性を知りませんか」とメッセージを受け取ったことをきっかけに、バーバラさんの母を探してきた。その様子をまとめ、2021年にドキュメンタリー映画を制作、公開した。
刊行に合わせ8月14日から「シネ・ヌーヴォ」(大阪府大阪市)や「シネマリン」(神奈川県横浜市)、「シモキタ - エキマエ - シネマ『K2』」(東京都世田谷区)で映画が再上映される。
木川教授は「バーバラさんのことはほんの一例で、『戦争孤児』や『混血児』の問題は日本全国どこにでもあった。日本では語られないことが多く、当事者が悲しみを抱えたまま消え、なかったことにされていく。映画や書籍を通じて、戦争がもたらした事実の一つとして知ってもらいたい」と話す。「和歌山の空襲の話などもたくさん聞いてきた。今後は和歌山の街と人の人生を絡めた、戦後の和歌山についても書き記していきたい」とも。
四六判、264ページ。価格は1,980円。
※書籍タイトルを修正しました(修正日:2025年8月12日 17:30)