有田市の伊藤農園(有田市宮原)で9月25日、早生みかんの初収穫が行われ、出荷作業が始まった。
みかん栽培が盛んな和歌山県中部の有田市は日本一の出荷量を誇るみかんの産地として知られる。同市のみかん栽培は、今から400年以上前の江戸時代から続くと言われ、代表品種「温州みかん」の昨年の収穫量は、16万8900トンで全国シェアの19%を占める。
伊藤農園は1897(明治30)年からみかんの農園と問屋を営み、今年で118年目となる老舗。4代目で社長の伊藤修さんによると、近年は遊休農地を利活用し、45カ所10ヘクタールを45人の従業員と共に管理しているという。出荷量は年間120トン。1989年からは問屋業に加え、みかんジュースの製造販売を始めた。現在では売り上げの8割近くをジュース事業が占める。地域の農家から出荷できないみかん約600トンを買い取って絞り、3万2400ケースを出荷している。
「有田のみかん畑の特徴は石垣。土壌の保温効果があり、水はけも良くなる。雨が降っても濃い味を保つことができる」と修さん。今年のみかんの出来については「例年に比べると1週間~2週間ほど収穫が早い。今年はお盆までに雨が少なかったせいか、色付きが良く、糖度も高い」と話す。収穫した「上野早生」30箱は、茨城県つくば市にある農産物直売所「みずほの村市場」や、初出荷を待ち望む全国の個人宅に出荷された。
父の修さんと農園を切り盛りする彰浩さんは「近年はヨーロッパへの輸出が増え、フランスのレストランや市場で高い評価を受けている。今後も最高品質の有田みかんを世界に広めたい」と意欲を見せる。