ネコの「にたま駅長」で知られる和歌山電鉄貴志駅近くの大國主神社(紀の川市貴志川町国主)で4月3日、大飯盛物祭(おいもりものまつり)が行われた。主催は貴志川中貴志地区長など50人を中心とした大飯盛物祭実行委員会。
同祭は、直径7センチメートルの餅を6000個飾り付けた「盛物」(神仏へのお供え物)を奉納する行事。竹軸を使って高さ5メートル、直径3メートルの気球型の山車を組み、その表面をむしろで覆って餅を飾り付ける。かつて同神社近くで起こった川の氾濫を龍神の仕業と考えた村人たちが社を建て、大飯を奉納するようになったことが祭りの起源といわれている。
当日は、稚児や獅子舞、みこし、舟、盛物の行列が、紀の川市貴志川支所から奉納先の大國主神社までの約1.7キロメートルを練り歩いた。大飯盛物の奉納神事は寛文より始まり、1935(昭和10)年以降は戦争などのため中断。その後1981(昭和56)年に復活したものの、多額の費用と日数を費やすため、およそ10年に1度の頻度で執り行われてきた。今回は11年ぶりの開催。
盛物の製作は1月の竹採取に始まる。2月からは、舟を引く中貴志小学校の新5、6年生107人が「盛物節」を練習するなど準備に励んできた。6000個の餅作りは祭の約1週間前に同地区の小学校体育館で行われ、地区民を中心に135人が190臼を使って準備した。
実行委員会事務局長の柳瀬森哉さんは「神社にかけての坂を倒れずによく進めた。この祭の見せ場は、神様の前で盛物のむしろを外して餅の飾り付けを披露するまで。必ず成功させてみせるという地区民たちの思いを信じていた。みんなで力を合わせた手作りの祭ができてうれしい」と話す。
餅の一部は「沈め餅」として近隣の川のつり橋付近から龍神様にささげ、盛物の餅は見物者に配られた。