紀の川市の酒造「九重雜賀(さいか)」(紀の川市桃山町元)で3月23日、蔵開きが行われた。
同社は1908(明治41)年、食酢の製造業として創業。創業者・雜賀豊吉の「良い食酢を作るには主原材料である酒かすから一貫して造るべき」という考えに基づき「食事に合う日本酒」を目指し、1934(昭和9)年に日本酒の製造を始めた。現在は日本酒11種類、リキュール4種類、ノンアルコール2種類、食酢7種類、調味料4種類をそろえる。酢と日本酒を醸造する蔵は全国でも珍しいという。
蔵開きは、3日から始まった「紀の川フルーツ体験!ぷるぷる博覧会(略称=ぷる博)」の一環で、今年で3回目。当日は、午前・午後の2部構成で、合わせて約90人が参加した。蒸気を使って酒米を蒸す「蒸米」や30石の大木おけが並ぶ食酢蔵の見学、「上槽」に残る酒かすの試食、もろみをかき混ぜる「櫂(かい)入れ」体験などを行った。
昨年パリで開催された日本酒コンクール「第2回KURA MASTER」でプラチナ賞と審査員特別賞を受賞した山田錦純米大吟醸「雑賀」の試飲や、調味料選手権で最優秀賞を受賞しただし入りの万能調味酢「お手間とらせ酢」であえた食材の試食などを行い、会場は大いににぎわった。
社長で4代目の雜賀俊光さんは「『なれずし』を生んだ和歌山はすしの発祥地と言われている。酢の消費量も全国トップクラス。先人が築き上げてきた和歌山の伝統を大切にして、国内外に和歌山産の酢や日本酒を届けたい」と話す。「今回の蔵開きを通じて和歌山県の歴史を知ってもらい、地域産業の発展のきっかけになれば」とも。
桃山町から子どもと参加した女性は「日本酒『雑賀』は、行きつけの酒屋で買っているお気に入り。同じ地区でその酒が造られていたことを知らなかった。子どもも食酢がとても気に入ったようで参加してよかった」と笑顔を見せた。