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和歌山県立博物館で「祈りと学びの山」展 高野山大学図書館所蔵物一堂に

奈良時代の写経で国重要文化財の「蘇悉地羯羅経」を解説する坂本学芸員

奈良時代の写経で国重要文化財の「蘇悉地羯羅経」を解説する坂本学芸員

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 企画展「祈りと学びの山 高野山大学図書館の名宝とともに」が現在、和歌山県立博物館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8670)で開催されている。

手の朱印を書き写した古文書

 弘法大師・空海が816(弘仁7)年に開創した高野山ではこれまで、多くの僧が仏や弘法大師の教えを学び、師から弟子へ、さらには一般の人々に伝えてきた。同展では、僧たちが学んだ経典や注釈本などの書物、行事に関わる次第書などを展示し、僧たちの学びの場としての高野山を紹介する。展示数は42点。

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 奈良時代の写経で国指定重要文化財の「蘇悉地羯羅経(そしつじからきょう)」は、白字で1074(承保元)年に僧・寛智が学僧の明算から伝受を受けたものであること、朱字で1108(天仁元)年に白河天皇の第五皇子である聖恵法親王が伝受したことも記され、さまざまな人の手に渡り、伝えられてきたことが伺える。

 高野山にまつわる伝説や考え方などを記した縁起の展示では、高野山上の東西に龍(大蛇)が伏しているという考えに基づき壇上伽藍(がらん)へ向かう参道を「蛇腹道」と呼ぶことや参詣の意義などを説いた資料を紹介。高野山を拠点に活躍した学僧として、平安時代の明算、南北朝時代から室町時代の宥快、戦国時代の朝意らを取り上げ、著作や書写を展示する。

 空海に関する書写や出版物として、伝記を墨一色の白描(はくびょう)画で描いた絵巻物や、弟子たちへの遺言の体裁で記した「遺告二十五箇条」、「般若心経」の注釈書などを展示するほか、僧たちが講義内容を急いでメモしたと見られるノートや彼岸に供養で読み上げた桓武天皇や源頼朝などが登場する過去帳、行事のときのしつらえを示した図面など、さまざまな角度から学びの資料を紹介する。

 学芸員の坂本亮太さんは「高野山大学図書館所蔵物を一堂に集めた、実物を間近に見られる貴重な機会。今回の展示に親しみを持てるよう、本に使われた紙の素材やとじ方、角筆を使って書いた漢字の読み方や送り仮名などの隠れ文字も紹介する。学びの場としての高野山を知っていただければ」と話す。

 開館時間は9時30分~17時。入館料は、一般=280円、大学生=170円、高校生以下・65 歳以上・障害者手帳所持者・県内在学中の留学生無料。月曜休館。3月7日まで。