かやぶき屋根が特徴のおむすび専門店「弥右ヱ門(やうえもん)」の開店準備の取り組みを現在、和歌山大学の学生らがかつらぎ町志賀地区で進めている。
同取り組みは、2017(平成29)年、若者の移住や定住を促す方策を学生が考え、実行する授業「地域協働自主演習」の一環として始まった。2018(平成30)年には古民家を改装したゲストハウス「志高庵(しこうあん)」を開店した。その後、敷地内にコミュニティースペース「ぐらーじゅ」とピザ窯「ぐらっこ」、竪穴式茶室「結門(ゆいもん)」などを地域住民と協力して製作。現在は、卒業生を含む18人がおむすび店開店に向け、活動している。
店舗は「志高庵」に隣接する平屋の倉庫で、生石高原の見頃を終えたススキを刈り、かやぶき屋根の製作を計画する。同地区には24軒のかやぶき民家があるが、現在は全てトタン板をかぶせている。「日本茅葺き文化協会」(茨城県)によれば、カヤは石油に替わる持続可能で循環する植物資源としても注目され、地域資源として再評価されている。同活動では、将来的には地区の民家のふき替えも目指すという。
提供するおむすびは、同地区の米を使い、具材には金山寺みそや梅干し、しらす、ショウガちりめんなど県産の食材を予定している。6月29日から、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で建築費用として目標金額300万円に設定し支援を呼び掛けたところ、7月23日に達成。現在は第2目標の500万円を目指して支援を呼び掛ける。
同プロジェクトに参加する学生の佐藤寛子さんは「志賀地区はUターン人口が多く、外の人を受け入れてくれる地域。かやぶき屋根のおむすび店が、地域の魅力を感じる場所になり、若い人たちの定住促進のきっかけと収入源になれば」と話す。「プロジェクトを応援してくれるたくさんの人にとっても、『未来のふるさと』になってほしい」とも。
クラウドファンディングは9月16日まで。2022年3月の開店を目指す。