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和歌山県立自然博物館の手作り地震模型がSNSで話題 動画は300万再生突破

「プレート境界地震の再現模型」を考えた和歌山県立自然博物館の小泉学芸員(左)と製作した松野学芸員

「プレート境界地震の再現模型」を考えた和歌山県立自然博物館の小泉学芸員(左)と製作した松野学芸員

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 和歌山県立自然博物館(海南市船尾)の学芸員が製作した「プレート境界地震の再現模型」が現在、SNSで注目を集めている。

2019年に和歌山県立自然博物館に展示された「プレート境界地震の再現模型」(写真提供=和歌山県立自然博物館)

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 昨年12月24日に大阪市立自然史博物館の学芸員・中条武司さんがツイッターに「一部で話題の和歌山県立自然博物館製作のプレート沈み込み模型。(なぜか昆虫が専門の)学芸員の手作りですよ、手作り。プレート境界の地震が見事に再現されている!#大阪アンダーグラウンド展に来れば、実物見れます!」(原文ママ)と25秒の動画で紹介。「めっちゃわかりやすいなこれ!」「高校の地学基礎や地理の教材に最適ですね」などのコメントが寄せられ、1月18日には300万回以上再生されている。

 翌日に和歌山県立自然博物館の担当者が「当館の模型が紹介されてる…!!ご紹介ありがとうございます。こちらの模型、学芸員の愛が高じて、当館では『じしんくん』の愛称がついております。残念ながら当館では常設展示はしていないので、皆さま、この機会ぜひ #大阪市立自然史博物館 へ!」と公式アカウントで投稿した。

 同模型を考えた和歌山県立自然博物館の地学専門学芸員・小泉奈緒子さんによると、模型は2019年の特別展のために企画したもの。機械の扱いにたけた昆虫専門の学芸員・松野茂富さんが製作した。都市のミニチュアを乗せた板を「大陸プレート」に、電動ローラーで回るベルトを「海洋プレート」に見立てた。「海洋プレート」が下方に回ると、その上に乗った「大陸プレート」も沈んでいき、限界までしなると反動で上に跳ね返る。両プレートには面ファスナーを貼り、摩擦で前震や余震を再現しているという。

 2020年に大阪市立自然史博物館に貸し出し、特別展「大阪アンダーグラウンド」で展示した。現在は「大阪アンダーグラウンドRETURNS(リターンズ)」で公開している(2月26日まで)。

 松野さんは「試作機も作らず気軽に製作を引き受けたが、思った以上に難しく、展示されているものは2号機。模型が狙い通りに動く仕組み作りから材料選定まで初めてのことで大変だった」と当時を振り返る。「今回の展示で再び注目されてうれしい。地学関係者から『良くできている』とコメントもあり、感無量」とも。

 小泉さんは「実はプレート境界地震を再現した模型は、ほかの博物館にもほぼない。近年はCGなどの映像で現象を見せることが多いが、物理現象は3次元的に目で見る方が直感的に分かりやすく、模型を作る意義がある」と話す。「プレートの沈み込みによる地震が注目されがちだが、プレートが押されることで陸側でも隆起があったり、地震発生時の沈降があったりするなど、気象庁が発表する観測データに基づく地殻変動も目で確認できる。子どもから専門家まで、見るポイントによってそれぞれに応じた理解ができる。この機会に大阪市立自然史博物館で実物を見てほしい」と呼びかける。

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