和歌山県教育委員会が6月13日、県内全高校で冊子「騙(だま)されない為(ため)の教科書」の配布を決めた。
同冊子は、全国の高校や少年院、児童養護施設などでキャリア教育を行う団体「HASSYADAIsocial(ハッシャダイソーシャル)」(東京都港区)が作成した。フィッシング詐欺や無料商法、タレント・モデル契約詐欺、マルチ商法などの実例、被害を避けるための注意点や被害にあった場合の対応方法を漫画や図表を交え36ページにわたり紹介する。
県教委によると、学校担当者の会議で同書を共有したところ、和歌山県の全高校から希望があり、県内全域での配布が決まった。配布対象は私立学校を含む県内全61校の高校生2万4633人。背景には、スマートフォンの普及により悪意のある情報も身近になったこと、2022年4月から18歳が成年となったため、高校生でも民法で定められた「未成年者取消権」が行使できなくなる生徒がいることなどがある。同冊子を授業に使う予定の学校もあるという。
県教育支援課学校安全班の棟保勇介さんは「岸本周平和歌山県知事が県教委に冊子を紹介したことで全国に先駆けて配布ができた。高校生に、うまい話には裏があることを知ってもらいたい。冊子で配布することで、家庭で保護者と知識を共有し、話し合う機会をつくってもらえたら」と話す。
配布は7月上旬から順次行う。