海南市と「ルートインジャパン」(東京都品川区)が6月28日、海南市役所で「災害時における宿泊施設利用に係(かか)る協定」締結式を開いた。
6月30日に海南市に開業した「ルートインGrand(グランド)海南駅前」
同社は30日に「ルートインGrand(グランド)海南駅前」(海南市名高)を開業。同協定は、災害の発生、またはその可能性がある場合に、妊産婦や高齢者など配慮が必要な人の避難場所になるほか、復旧支援のため海南市を訪れた人の宿泊施設となる取り決め。和歌山県内では紀の川市に次ぐ2例目。
締結式で永山泰樹社長は、令和6年能登半島地震での同社の復興支援の実例として、「ルートイン輪島」が近隣住民約140人の避難を受け入れた後、1月10日から通常営業を再開し、医師会など復興に関わる人に宿泊を提供したことを説明。
「平時は宿泊施設として、災害などの有事の際には、地域の人たちの避難場所として被災者に開放することが使命。災害からの復興でも宿泊施設は必要不可欠だ」と永山社長。「全国4カ所に備蓄倉庫を置くなど、グループをあげて災害時のノウハウを蓄積している。万が一の時には海南市の役に立ちたい」とも。
神出政巳海南市長は「2023年6月の豪雨災害の際には、緊急の応援を要請する事態となり、各方面から約1800人が支援に駆け付けてくれた。30年以内に南海トラフ地震が発生する可能性は70~80パーセントと言われており、避難および生活に配慮を必要とする人の受け入れ体制の充足や復旧支援のために本市を訪れる人の宿泊場所の確保は喫緊の課題だった」と述べ、同社に感謝を示した。