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和歌山県立近代美術館で夏休みワークショップ 2000年後の発掘作業をイメージ

2000年後の発掘現場をイメージしたワークショップ会場

2000年後の発掘現場をイメージしたワークショップ会場

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 夏休みワークショップ「2000年後の和歌山を発掘しよう!」が8月19日、和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8690)で開催された。

作品を解説する柴川敏之さん

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 夏休みワークショップは今年で5回目。「なつやすみの美術館」の出展アーティストを講師に迎え、展示のテーマに沿って制作体験を行い、作品作りや鑑賞を楽しむ。小学生を中心に子どもから大人まで誰でも参加できる。

 同日は就実短期大学教授の柴川敏之さんが講師を務め、自身の制作テーマ「2000年後から見た現代社会」をキーワードに、「現代の製品や部品が、41世紀に『出土品(化石)』として発掘された」との設定で化石や遺物の発掘作業に見立て、ローラーを使って拓本を作った。

 ローラー拓本は、床に隙間なく並べた数百点の物品を帆布(はんぷ)で覆い隠し、水性インクをつけたローラーでこする。長さ12メートルの帆布を敷き、車のエンブレム、洗濯バサミ、VHSテープ、ハンガー、古銭、ノートパソコンなどを刷り出した。青く染まった帆布は60センチ幅に切り分けられ、参加者に配布された。

 柴川さんは「和歌山での開催なので、出土品の並びは和歌山の地図や地形をイメージし、県産品の『蚊取り線香』や『わかやま』『むそた』など地名を配置した。普段は黒いインクを使うが、和歌山は海をイメージして青いインクを初めて使ってみた。帆布にローラーをこすりつけ、徐々に物の形が浮かびあがる様子を水中遺跡探索のように楽しんでもらえれば」と話す。「例えば、額縁付きの絵画作品が土に埋まり、2000年後の人間に発掘されるとしたら、その時の絵画作品は変質し『おぼん』のような化石だろう。現在博物館に展示されている出土品も、当時の社会では、現代人が付けたタイトルと全く違う物品だったかもしれない。2000年後の未来から現代を発掘するワークショップが、そんな想像のきっかけにもなれば」とも。

 参加者のいそのさん(10歳)は、「タイムトラベルの展示を見るだけかと思っていたけど、発掘もできた。今日が夏休みで一番楽しかった」と笑顔を見せる。参加者の田中恒子さんは「私は77歳。毎回子どもたちと一緒に作業をすると心が柔らかくなる。頭で考え過ぎるのではなく、五感やイメージを大事にしようと改めて感じた。これからも心を解放して生きていたい」と話す。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。観覧料は、一般=510円、大学生=300円。高校生以下・65歳以上無料。「なつやすみの美術館8 タイムトラベル 美術館で時間の旅に出かけよう。」は9月2日まで。

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