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和歌山のデザイナー制作「おばけメラミンスポンジ」、香港でデザイン賞

商品を手にしたデザイナーの角田さん(左)と土井さん

商品を手にしたデザイナーの角田さん(左)と土井さん

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 和歌山市の貼雑デザイン事務所(和歌山市十番丁)がデザインした「メラミンおばけスポンジ」が10月23日、「DFA Design for Asia Awards 2018」の「Merit Award(メリットアワード)2018」を受賞した。

おばけスポンジを飾り付けに使う様子(角田さんの娘が制作)

 DFA(香港デザインセンター)が主催する同賞。2003年に「香港をアジアのデザイン拠点に」を旗印に創立した。審査は「アジア社会固有の文化的価値」や「持続可能な発展」「生活を向上させる技術・素材の利用」などを基準とし、さらに「製品がクライアントに経済的な利益をもたらしたかどうか」を重要視する。毎年、世界20カ国以上、1000件以上のエントリーがある。

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 2007年、デザイナーの角田誠さんが立ち上げた同事務所は、これまでに日用品パッケージを2000点以上制作。農業分野を得意とし、45都道府県の生産者から依頼を受け、ロゴやシール、パッケージなどを手がけた。自治体や支援センターなどで、生産者に向けたデザインの講演も行う。

 「メラミンおばけスポンジ」は100円ショップ「キャンドゥ」のプライベートブランド商品。お化け型にくりぬかれたメラミンスポンジが、1パックに9個入っている。デザインを考案したのは、同事務所で生活用品を担当するデザイナー・土井知子さん。学童保育に勤務していた頃、掃除を嫌がる子どもたちを見た記憶から「子どもが掃除を楽しめる商品」を模索。使うほどボロボロになり、跡形がなくなるメラミンスポンジを「お化け」に見立て「汚れと一緒にお化けが消える」と提案した。

 土井さんは「子どもが手に取りやすくなるよう、お化けの目を大きくし、膨らみのある輪郭にした。230個を超える提案をしてきたが、クライアントの反応は過去最高だった。今では掃除道具ではなく、プロのマジシャンが奇術グッズにしたり、ハロウィーンの飾り付けに使われたり、最近では小学生の間でスクイーズ(握りつぶして遊ぶ人形)の原型として重宝されている。意外な使われ方で評判になり、驚いている」と話す。「仕事柄、お店にも通うが、店員さんに『おばけスポンジは売れすぎて、入荷しても棚からすぐに消える』と言われる。使われ方が妙で、神出鬼没。本物のお化けを作ってしまったかも」と笑う。

 角田さんは「人との出会いに恵まれ、初めてデザインアワードに参加した。審査をするのが外国人ということで、商品コンセプトやデザインの課題と効果、経済的な成果を端的に、かつ十分に説明する必要があり、とても難しかった」と話す。「日用品やパッケージのデザインは回転が速く、仕事としても効率とスピードを優先していた。アワードの挑戦が、仕事の仕方を見つめ直す機会になり、おばけスポンジが評価され、さらに意識が変わった。今では、消費型のデザイン制作にも、農業デザインで大切にしているコンセプトの深堀りや生産者との対話、商品のストーリー作りを大事にしている。おばけスポンジに心が磨かれた気持ち。来年以降もデザイン賞に挑戦したい」と意気込む。