「福開き速駈詣(はやがけまい)り」が1月14日、西国三十三所第2番札所の「紀三井寺」(和歌山市紀三井寺)で開催された。汗濁(あせだく)大学アスリートクラブと同寺の共催。
スーツ姿で会議に遅れそうなサラリーマンを演じながら階段を駆け上がる参加者
「速駈詣り」は一年の無事を願い、新たな決意をささげる参拝で、昨年に続き2回目。楼門から本堂まで続く石階段「結縁(けちえん)坂」の210段を2人ずつ駆け上がる。参加者には速駈証を渡し、本堂で参拝後は寺務所で当日限定の御朱印を授与する。
開会式で前田泰道住職は「当寺正面の一直線の階段を駆け上がることで、1年間観音様に見守ってもらえる。昇り竜のごとく上り調子で健やかに、胸に秘めた思いがかなうよう全身全霊で行う祈りの儀式と思って臨んでほしい。今年は病気のリハビリ中の人や障がいのある人も参加する。皆さまに観音様のご加護がありますように」とあいさつした。
当日は県内外から18~68歳の男女121人がタイムを競った。ふんどし姿や背広姿、かぶり物を身に着けて走る人もおり、階段途中で見守る人たちからは「頑張れ」「もうちょっと、ラストスパート」「ここから、ここから」などの声援や笑い声、拍手が上がった。
一番速く駆け上がった男女「福結び速駈王」「福結び速駈姫」は、共に連覇を果たした佐々木竜一さんと坂口多加代さん。25秒65を記録し、昨年の自身の記録を1秒以上更新した陸上選手の佐々木さんは「昨年は最後の60段がきつかったが、今年は気が付いたらゴールが目の間に来ていた。和歌山のスーパー高校生が隣で走ると聞いたので少しひやひやしたが、連覇できてうれしい」と話す。「昨年は陸上大会の結果がよく、プライベートでは結婚もあり良い一年だった。今年もいいことずくめの年にしたい」とも。
佐々木さんと一緒に走った県立星林高校3年生で陸上短距離選手の中野翔大さんは「昨年の佐々木さんの動画を見て練習し、25秒台を目標にしてきたが届かず悔しい。やはり速駈王の後ろ姿は大きく速かった」と話した。