有田川町と龍谷大学(京都府)が5月29日、ぶどう山椒(さんしょう)を未来につなぐプロジェクトを発足させた。
ブドウサンショウは、同町清水地域に自生していたサンショウを天保時代に植え替えた木が発祥とされる品種。名の通りブドウの房のようにたくさんの実がなる。同町のサンショウ生産量は日本一を誇る。
ほかの品種に比べ肉厚で爽やかな香りが特徴で、近年は欧州のシェフやパティシエから注目を浴び海外へも出荷しているが、生産者の高齢化が進み、担い手不足が深刻な課題となっている。
龍谷大学は産地と消費者をつなぐことをテーマに、農家と連携した商品開発の実績があることから、同プロジェクトでは、ブドウサンショウの市場調査や産地の認知度向上、商品開発やプロモーションを行う。21人の学生が同町を訪れ、ブドウサンショウの収穫体験や関連企業・地元住民への聞き取りを行った。
経営学部の山本尚樹さんは「ブドウサンショウの産地の現状、サンショウを収穫するまでの過程にかかる手間と時間、どのように流通され、どのような展望をしているのかなど貴重な勉強をすることができた。今回学んだ知識を今後の商品開発に生かし、サンショウの魅力がもっと多くの人に伝わるような商品を開発したい」と意気込む。
学生を受け入れた同町境川区長でブドウサンショウ農家の山本賢太さんは「4月にもベルギーのスパイスメーカーの人と交流を行った。外部との関わりを持つようにしている。今回の受け入れでどの生産者も、学生の若さと一生懸命な姿に心を打たれ、大変励みになった」と笑顔を見せる。「乾山椒(ひざんしょう)収穫の時期も学生たちが来てくれることが今から楽しみ。境川区民も知恵を絞って、さらなる展開で、この地域が存続できるよう活性化を推し進めたい」とも。