映画「猫の駅長 貴志川線物語(仮)」のキャスティングオーディションの参加者募集が9月1日から始まった。
同映画は、和歌山駅から貴志駅を結ぶ和歌山電鉄貴志川線の実話を元にした物語。主演は中村雅俊さん、監督は、映画「武士の一分」「母べえ」の脚本担当や映画「ひまわりと子犬の7日間」監督で知られる平松恵美子さん。
同線沿線の伊太祁曽(いたきそ)神社の禰宜(ねぎ)奥重貴さんが、小学校の同級生で、えちぜん鉄道(福井県)を舞台にした映画「えちてつ物語 わたし、故郷に帰ってきました。」の脚本を務めた村川康敏さんと再会したことが映画製作のきっかけという。奥さんから貴志川線の話を聞いた村川さんは独自に調査し、草案を作成。後日、プロデューサーの大橋孝史さんを連れ、和歌山を訪れた。
1916(大正5)年開業の山東軽便鉄道が前身の貴志川線は、1961(昭和36)年に「南海電鉄貴志川線」となったが、赤字経営のため2004(平成16)年に廃止された。沿線住民が存続運動を行い、「岡山電気軌道」を母体とする「和歌山電鉄」に運営が引き継がれ、2006(平成18)年に「和歌山電鉄貴志川線」として再出発した。
同映画は現在、台本作成中で、10月から県内でオーディションを行い、2020年1月から撮影に入る。来年秋には和歌山で先行上映を予定する。
奥さんは「公共交通の存続が厳しい状況で、廃線の危機を迎えた地域がたくさんある。貴志川線で本当にあった話を基にした映画で、地元鉄道を守るために住民が力を合わせれば、残せる可能性があることが、同じような状況の人たちに伝われば」と話す。「全国から役者を目指している人はもちろん、県内の多くの人にも映画に関わってもらいたい。貴志川沿線での撮影がメインだが、ほかの県内の土地でも撮影予定なので、和歌山の魅力が伝わる映画になれば」と期待を寄せる。
オーディション募集は10月31日まで。