和歌山で理美容はさみを製造する「菊井鋏(はさみ)製作所」(和歌山市小雑賀)が現在、休業や短縮営業する理美容室のために同社製はさみの修理を無料で行っている。
同社は1953(昭和28)年創業。コバルトを70%含むコバルト基合金製のさびに強い理美容用はさみを製造する。2016(平成28)年からはアメリカで販売を始めた。
新型コロナウイルスの影響で、休業や営業しても客足が遠のく理美容室が多いと聞いた3代目社長の菊井健一さんが、緊急事態宣言が発表された4月7日、「理美容師に前を向いてほしい」と無料修理を始めた。
同社製のはさみに限り、1人3丁まで、通常1丁3,850円かかる修理を無料で行う。当初は、4月7日に緊急事態宣言が出された7都府県を対象にしたが、4月17日からは全国に広げた。東京、福岡をはじめ全国から、通常の約3倍の修理依頼があるという。
菊井さんは「今までは研師に依頼していた人や20年ぶりの人からもはさみが届いていている。休業する理美容室も、対策して営業を続ける理美容室も、どちらもが困難な状況。メーカーも理美容師さんに支えられてきたので、今後も理美容師さんに寄り添っていきたい。一緒に乗り越えていきましょう」と呼び掛ける。
インスタグラムには「おかげでとても綺麗にハサミ達が整いました。まだまだ気の抜けない日々が続きますが、お陰様で一歩一歩前へ進む準備が整いました」(原文ママ)など感謝のメッセージと共に、はさみの写真を投稿する美容師もいる。
無料修理は5月6日まで。