純米酒「紀伊国屋文左衛門」の初仕込みが10月19日、酒造会社「中野BC」(海南市藤白、TEL 073-482-1234)で行われた。
仕込みは酒母(しゅぼ)にこうじ、蒸米(むしごめ)、水を加えて発酵させもろみを造る工程で、4日間にわたって行う。仕込み初日は、酒母の入った直径2メートル・深さ2.5メートル、1万リットルのほうろう製タンクに、蒸して冷ました酒米285キロと米こうじ115キロ、水を入れ、長さ3メートルの櫂(かい)でかき混ぜる「初添え」を行った。
仕込んだ酒は20日~25日ほど発酵させ、11月中旬に初搾りを行い同純米酒の新酒兼生原酒として約4000本を全国の酒店、百貨店などに出荷する。
同社は2006(平成18)年度の仕込み分から、機械による大量生産から杜氏(とうじ)や蔵人(くらびと)による少量の手仕込みの伝統手法に製造方法を変更。同銘柄は伝統手法による第1弾で、江戸時代の地元豪商にちなんで名付けた。
杜氏の武田博文さんは「新酒は富山県産『五百万石』の新米100パーセントで造る。この2年ほどは硬めの米だったが、今年は少し柔らかく溶けやすい米なので味のふくらみのあるおいしい酒になりそう。生原酒のフレッシュな風味を楽しみにしてほしい」と話す。
出荷は11月19日を予定する。