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和歌山県立博物館、企画展で「お身代わり仏像」紹介 相次ぐ盗難の防止に一役

仏像と「お身代わり仏像」を紹介する大河内智之学芸員

仏像と「お身代わり仏像」を紹介する大河内智之学芸員

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 企画展「仏像は地域とともに みんなで守る文化財」が現在、和歌山県立博物館(和歌山市吹上1、TEL 073-436-8670)で開催されている。

「お身代わり仏像」(左)と本物の仏像

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 地域の人々に守られ継承されてきた仏像は、地域の歴史を知るための貴重な文化財。近年は人口減少や高齢化により仏像を守り続けることが難しくなっている。学芸員の大河内智之さんによると、インターネットオークションやフリマアプリの普及で仏像の需要が広がり、換金目的での仏像盗難被害が全国的に増加しているという。

 同館の調査では、2009(平成21)年から1年間に県内60カ所で160体の仏像が盗難被害に遭っている。県は2012(平成24)年から「お身代わり仏像」を製作して地域に祭ってもらい、本物の仏像は同館で保管する取り組みを行っている。身代わり仏像は県立和歌山工業高校にある3Dプリンターを活用した授業の一環として生徒が製作。和歌山大学ミュージアムボランティアのメンバーが塗装する。

 同展では「文化財の在り方と守り方」をテーマに、身代わり仏像のほか、盗難被害に遭ったものの取り戻され修理した西山観音堂(紀の川市貴志川町西山)の十一面観音立像や千光寺(橋本市高野口町上中)の千手観音立像などを含む仏像39点を展示する。

 大河内さんは「『お身代わり仏像』は全国でも珍しい和歌山県独自の取り組み。現代の技術を活用し、未来を担う若者たちを中心に、継承されてきた文化財を守っている。完成した身代わり仏像は若者たちの手から直接、希望する地域の人々に渡され、新たな歴史を刻みながらまた継承されていく」と話す。「本展では、手で触れることができる『お身代わり仏像』も展示している。文化財を皆で守っていくこと、その守り方、そして博物館としての在り方を考える展示。積極的な防犯対策を進めてもらったりこの取り組みに賛同してくれる協力者が増えたりするきっかけになれば」とも。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。入館料は、一般=280円、大学生170円、高校生以下・65歳以上・障がい者・県内在学の外国人留学生無料。3月6日まで。

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