第24回「両生類自然史フォーラム」が7月1日・2日、紀美野町で開催された。主催は日本両生類研究会。
紀美野町で開催された「両生類自然史フォーラム」でサンショウウオを観察する子どもたち
和歌山県初開催の同フォーラム。両生類研究者の佐々木彰央さんが経営する博物模型専門会社「アンフィ」(紀美野町神野市場)、「紀美野町自然環境ネットワーク」、「和歌山県立自然博物館友の会」(海南市船尾)が共催した。
1日は、「きみの自然体験館」(紀美野町神野市場)で同研究会の研究者らによる講演・研究発表が行われた。会場内ではポスター発表が行われ、両生類約10種の生体展示のほか、さまざまな生物の標本・はく製などの展示、物販コーナーも設けられた。家族連れなど約400人が来場した。棚田の再生に取り組む「中田の棚田」では、フィールドワークが実施され、全国から参加した研究者と来場者が共に生物を観察した。
和歌山市から家族と参加した男子児童は「サンショウウオを初めて見てうれしかった。今日だけでたくさんの動物や蝶を見ることができた」と笑顔を見せた。
2日は、「紀美野町文化センター」(同)で講演会「専門家が語る 和歌山県の両生類の魅力」が開かれ、約120人が来場。和歌山県立自然博物館の高田賢人学芸員が基調講演した。高田さんは県内の両生類の分布状況や変化を紹介。和歌山県レッドデータブック2022で絶滅危惧Ⅰ類の「ニホンアカガエル」が4月に同町内で見つかったことが報告された。「数十年前はありふれた種だったカエルやサンショウウオが、今は希少になっている。分布状況を正しく把握することが保全につながる。サンプルを残したいので、両生類を見つけたら情報やサンプルを博物館に提供してほしい」と呼びかけた。
高田さんと同研究会会長・高橋久氏、埼玉県立「川の博物館」藤田宏之学芸員のトークセッションも行われた。高橋さんが日本両生類研究会の活動実績を紹介。来場者からの「営農型太陽光発電の設置はニホンアカガエルの生態に影響があるか」との質問に高田さんは「湿地を埋めると生態への影響は大きい」と答えた。藤田さんは「日本にしかいないこのカエルを守るため、タマゴを数える催しなど市民参加型の取り組みをしてはどうか」と提案した。運営委員長の佐々木さんが「紀美野町で子どもも参加できる観察会や交流会を開催していきたい」と応じると会場から拍手があった。