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和歌山市立博物館で菓子木型展 「駿河屋」の再現菓子も展示

三枚一組の木型を使った再現菓子「和歌の浦」

三枚一組の木型を使った再現菓子「和歌の浦」

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 和歌山市立博物館(和歌山市湊本町3、TEL 073-423-0003)で7月22日、夏季特別展「美尽くし善極める-駿河屋菓子木型展-」が始まった。

片男波や妹背山、紀三井寺周辺が描かれた木型「和歌の浦」

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 同館は2015年に「駿河屋」(駿河町)伝来の菓子木型を受け入れ保存。木型や菓子文化から和歌山の歴史に触れてもらおうと企画した。

 駿河屋は紀州徳川家の菓子の御用を引き受けてきた菓子商。10代藩主・徳川治宝(はるとみ)、11代藩主・斉順(なりゆき)時代には、大名同士の贈答品として菓子木型を使った落雁(らくがん)を多く作り、和歌浦の景観や文芸作品をモチーフにした同店の落雁は「美尽くし善極めたる前後無比の良品」と表されていたという。

 展覧会では、菓子木型や菓子の手本帳など約250点を展示。菓子作りに欠かせない砂糖と和歌山の関わりから始まり、紀州藩と駿河屋、治宝・斉順時代の菓子木型、菓子の手本帳、駿河屋の菓子が登場する当時の女性たちの日記などが並ぶ。

 学芸員の山下奈津子さんは「展示する木型約200点はほとんどが初公開のもの。紀州藩主の贈答品として使った物なので大切に保管されてきた。木型は彫りが大変美しく、菓子を作る道具でありながら、文化財と言っていいほど」と話す。「木型を通して和菓子や日本の文化を感じてほしい。駿河屋の職人が復元菓子を制作してくれたので、職人の技術も知ってもらえれば」とも。

 駿河屋の岡本良太社長は「博物館で木型を受け入れていただき、このように展覧会を開いていただけてうれしい。駿河屋だけでなく、当時の砂糖や木型職人、和歌山の歴史や文化に触れる機会になってほしい」と話す。

 7月29日、8月5日・19日には、和菓子研究者や学芸員による特別講演会を行うほか、8月11日・12日には木型を使った型抜き体験を行う。8月20日には表千家同門会和歌山県支部、和歌山県青年部による呈茶席も。

 特別展開催を記念して駿河屋では絵手本を元に再現した「生姜羊羹(しょうがようかん)」を限定販売する。同館でも8月20日に特別販売する。

 開館時間は9時~17時。月曜休館。入館料は400円(高校生以下無料)。8月27日まで。

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