コミュニティーFM放送局「エフエム和歌山」(和歌山市塩屋、TEL 073-444-4803)で7月1日、人工知能(AI)を使ったラジオ放送が始まった。
ニュース原稿とオンエア時間を設定する「OnTimePlyer」
同放送はネット通販の米アマゾン社が提供する「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」の人工知能「Polly(ポリー)」を使ったもの。ポリーはテキストを音声に変換するサービスで、学習させることで、より人に近いアナウンスが可能になるという。
放送では初めに「アマゾンAWSポリーから生まれたナナコです」とあいさつし、深夜や早朝などに最新ニュースや天気予報を読み上げる。夜には「ほな、さいなら」と関西弁であいさつも。
システムは同局で企画・編成を担当する山口誠二さんが独自に開発した。山口さんは和歌山市生まれの35歳。2004年からアメリカに留学し、2006年から東京でウェブ開発者として独立。2008年から父・昭昌さんが理事長を務める同局で働き、放送ソフトウエアの開発に従事する。
山口さんは「放送周波数87.7メガヘルツ、通称バナナFMの愛称にちなんで、AIにも名前をいくつか考えて読ませてみたところ『ナナコ』が一番聞き取りやすかった。日々成長するナナコに、リスナーも親しみを感じてもらえたら」と話す。「例えば、リスナーを意識した間の取り方など、ナナコは人間のアナウンサーにはかなわないが、アナウンサーの確保が難しい深夜・早朝、災害時には臨時アナウンサーとして活躍させたい」とも。
アマゾンウェブサービスジャパンの長崎忠雄社長は「エフエム和歌山のようなラジオ放送が増えることで、日々の情報提供はもとより、有事の際の情報提供に貢献できることをうれしく思う」と話す。