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JRきのくに線でスタディーツーリズム「鉄學列車」 150人が一斉避難訓練

緊急停車した列車から高台目がけて避難訓練する参加者たち

緊急停車した列車から高台目がけて避難訓練する参加者たち

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 JRきのくに線の串本駅~新宮駅間で3月11日、避難訓練とスタディーツーリズムを組み合わせた「鉄學(てつがく)列車」が運行され、乗客150人が津波避難訓練を行った。主催はJR西日本和歌山支社。

ぼたん荘特製の紀南名物を使ったジオ弁当

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 当日は、乗客が列車で地域資源の説明を受けている最中に、震度7の地震が発生し緊急停車する想定で訓練が行われた。緊急警報発令と同時に「津波が来ます。津波が来ます。避難して下さい」と車内放送が入り、乗務員が避難誘導を開始。乗客は降車口より順次飛び降り、高台に向かって一斉に走った。息絶え絶えになりながら高台に到着し、現実さながらの避難訓練を行った。

 「鉄學列車」は地域資源を学びながら鉄道からの避難方法を学ぶ「スタディーツーリズム」の一環として、同社と和歌山大学西川研究室・此松研究室が共同研究している。昨年に続き2回目の開催で、特急「くろしお」号に使用する287系統車両3両を使用し、参加者を前回の5倍に増員した。JR九州や東海、北海道のほか私鉄、大学やジオパーク関連の研究者など151人が参加した。

 ツアーは、串本駅から始まり、橋杭岩、九龍島・鯛島、波食棚・海食棚、新宮駅まで紀南の観光名所を回りながら、津波避難訓練を取り入れた。参加者らは車内で「南紀月の瀬温泉ぼたん荘」(古座川町月野瀬)の鹿肉のつみれ団子揚げや猪(イノシシ)コロッケなど地元食材を使った「ジオ弁当」を堪能した。

 ツアーの最中、王子ヶ浜で東日本大震災の発災時刻14時46分を迎えた参加者らは、被害者に黙とうをささげた。

 和歌山大学の講師・西川一弘さんは「津波浸水想定区間が全体の約35%を占めるきのくに線は昔から津波・土砂災害にさらされてきたが、先人と鉄道会社の努力で乗り越えてきた。これからの来るべき時の災害に向けて、できることからひとり一人の備えが重要だ」と話す。「紀南の風景を楽しみ、橋杭岩や王子ヶ浜などのジオサイト、旧新宮鉄道の歴史などを学びながら、防災意識向上につながれば」とも。

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