自然環境で保育を行う「めぐみと森のようちえん」が4月8日、岩出の「和歌山県立森林公園根来山げんきの森」(岩出市根来)を拠点に開園した。
デンマーク発祥の乳幼児対象の野外保育活動の総称という「森のようちえん」は、森林を中心とする自然環境の中で、自然体験を軸として保育する。この趣旨に賛同する各地域の主催者が「森のようちえん全国ネットワーク」に会員として加盟し、認可外保育や週末だけのイベント型、子育てサークルなどさまざま形で活動。現在は全国に200以上の活動団体があるという。
同園は防災士で自然体験活動指導者の佐道大倫(ひろのり)さんと、中学・高校の教員免許を持つ匡子(まさこ)さんが夫婦で運営する。「第3回リノベーションスクール@和歌山」参加をきっかけに、多くの賛同者を得たことから、2016年から和歌山で活動を始め、2017年に大阪から和歌山へ移住した。
「子どもも親も育ち合う場」を理念に、和歌山の自然環境や食、子どもの自主性に重きを置いた保育活動を行う。一般的な園舎は持たず、同園の施設や自然環境を活用する。認可外の保育施設だが「平日預かり 森のおさんぽクラス」は毎日開園し、和歌山市内からバス送迎を行う。保育料は週5日で月額3万9,500円、対象は3歳から未就学児まで。現在、平日は6人を保育し、森の中の「野遊び」や、アートワークショップ、音楽教育「リトミック」、食事作りなどを行っている。
大倫さんは「大阪で学童保育の指導者をしていた時に、もっと子どもたちにやりたいことをやらせてあげたいと思っていたが、なかなか実現できなかった。『めぐみと森のようちえん』はリスクを減らす指導ではなく、のびのびと楽しめる場にしたい。森は自由で子育てをする場としてとてもよい。子どもを中心とした環境の中で自由に過ごさせ、成功体験を積み重ねていってもらいたい」と話す。「和歌山には豊かな自然があり、そのすべてが園舎であり園庭であると思っている。大人が管理した空間ではなく自然の中で学びを深め、子どもの心と体の成長にさまざまな刺激を与えていきたい」と笑顔を見せる。