みなべ町が現在、特産の紀州備長炭を製造する炭焼き職人のなり手希望者を募集している。
2004年(平成16年)、同町と合併した旧南部川村は、日本有数の紀州備長炭の産地。江戸時代に紀州藩が紀南地方の村で焼かれる「熊野木炭」に着目し、1700年代に紀州の炭問屋「備中屋長左衛門」がこの炭を普及させたことから名付けられた。和歌山県は、1974(昭和49)年に紀州備長炭の製炭技術を無形民俗文化財に指定し、指導製炭士を認定している。
炭焼き職人としての活動は、紀州備長炭製炭技術の習得および生産、木炭原木の確保、紀州備長炭に関する情報の収集および発信、新規就林を考える移住希望者への助言、林業関係機関・団体との連携など。炭焼き業務のほか、移住・交流事業や地域活動への参加など地域おこし協力隊員としての活動も行う。
同町産業課の野中直弘さんは「近年は紀州備長炭に注目が集まり、森林組合にも問い合わせがあるが、生産量が追いついていない。合併前は70人近くいた炭焼き職人が今では半数の30人ほどになってしまった。林業の衰退や獣害、高齢化などさまざまな要因で担い手が不足している。伝統技術の継承やまちおこしに関心のある人は応募してほしい」と呼び掛ける。
募集は3月2日まで。